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Developers Boost 2024 セッションレポート(AD)

エンジニアからプロダクトマネージャーへ ──コンフォートゾーンを抜け出して得られたキャリアの解像度を高める方法

【Session7】新人プロダクトマネージャーの苦悩と挑戦~エンジニアから舵を切ったキャリア選択~

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 CodeZine編集部は2024年6月22日に30歳以下の若手エンジニアを対象とした技術カンファレンス「Developers Boost(デブスト)2024」を開催した。今回のテーマは「Be a changer, Be a challenger」だった。うるるの笹川歩氏によるセッション「新人プロダクトマネージャーの苦悩と挑戦〜エンジニアから舵を切ったキャリア選択〜」では、悩みながらも挑戦を続け、エンジニアからプロダクトマネージャーという新たな道に飛び込んだ経験が共有された。

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20代をどう過ごすのか? 笹川氏が出した答え

 うるるは「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」というビジョンを掲げる企業。BPO・クラウドソーシングに加え、SaaSプロダクトを自社開発して提供しており、企業の業務効率化や新しい働き方の提案をしている。

 笹川氏は大学院でディープラーニングを活用したロボット工学の研究を行った後、エンドユーザーを意識したプロダクト開発がしたく、自社開発をしている株式会社うるるに2021年に新卒で入社した。入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」の部門に配属され、エンジニアとして開発業務やプロジェクトリーダーを経験。2023年12月にプロダクトマネージャーにジョブチェンジし、プロダクトの成長を目指す業務に奮闘している。

株式会社うるる NJSS事業本部 開発部 PdMO課 プロダクトマネージャー 笹川 歩氏
株式会社うるる NJSS事業本部 開発部 PdMO課 プロダクトマネージャー 笹川 歩氏

 登壇した笹川氏は「20代をどう過ごすのか?」というテーマを掲げた。20代で、自身のキャリアについて悩み、どんなスキルを積むべきか迷う人は多い。笹川氏は、自身のエンジニアやプロダクトマネージャーとしての経験を押し付けるのではなく、それぞれが自分なりにキャリアについて考えることの重要性を伝えたいとし、「20代は“分からないことを分かるようにする”ための時間として使う」という結論をまず伝え、その真意を説明し始めた。

笹川氏の主張
笹川氏の主張

 笹川氏は「分からないこと」というのは、キャリアに対する不安や、解像度が低い状態だと言う。今のような不確実性の高い時代では、将来を見通してキャリアを構築するのは難しい。笹川氏が、学生時代に就職活動していたころはコロナ禍でのリモートワークや現在の生成AIブームを予想していなかったし、ディープラーニングを使った研究をしていたものの、ここまでのAIの発展は予想していなかった。また当時、プロダクトマネージャーという職種も今ほど目立った存在ではなかった。

 そこで笹川氏は、「分からないこと」への対処について、エンジニアらしくアジャイル開発のように仮説検証を繰り返しながら不明点を減らし、キャリアの解像度を上げていきたいと考えた。自分のキャリアについてビジョンや仮説を持ち、それを検証しながら解像度を上げていくというのだ。

なぜ今なのか? 不安を払拭するためにジョブチェンジを決意

 笹川氏は、エンジニアからプロダクトマネージャーにジョブチェンジした経緯や業務内容の変化について話した。笹川氏は2021年にエンジニアとして入社し、約2年半から3年間経験を積んだ。主な役割はSaaSプロダクトであるNJSSのバックエンドエンジニアで、APIの開発や運用保守を担当してきた。

 NJSSは、全国の官公庁・自治体・外郭団体をはじめとした全国8,300の機関の入札・落札情報を一か所に集約することで、企業が一括で検索・管理できる業務支援サービスだ。笹川氏はこのサービスにおいて、検索エンジンを用いた検索システムの開発と運用保守を担当した。その後、プロジェクトリードなどを経験し、トラブルに直面してもそれを乗り越えながら業務を遂行した。

 エンジニアとして業務を続ける中で、キャリアを考えるきっかけはコンフォートゾーンの意識だ。コンフォートゾーンとは、環境に慣れて心地よい状態を指すが、それに物足りなさを感じていた。また、生成AIの登場によって、エンジニアとしてどのようなスキルを積めばいいのかという不安・疑問も生まれた。そして、キャリアに対する不安を抱き、将来について考え始めるようになったのだ。

 笹川氏は就職活動をしていたころから、将来的には事業に関わりたいと考えていた。プロジェクトリードなどを経験する中で、「How(どう実現するか)」よりも「What(何を実現するか)」「Why(なぜやるのか)」に関心を抱くようになる。その背景には、プロダクトマネージャーの注目度が上がっていることや、自分の組織にプロダクトマネジメントの部署が新設されるなどの外的な要因もあった。

 「はたして、挑戦するのは今が適切なのだろうか」。笹川氏は、将来的に事業サイドに関わりたい気持ちはあったが、エンジニアとして技術を深めたいとも考えていた。また、エンジニアでもプロダクトマネージャーでも、どんなスキルを開発すべきかについても悩んだ。キャリアの解像度が上がらない状態だった。やがて、「“分からないことを分かるようにする”には今しかない」とプロダクトマネージャーへの挑戦を決断する。

ジョブチェンジ決断の前にはさまざまな悩みがあった
ジョブチェンジ決断の前にはさまざまな悩みがあった

 この挑戦において役に立ったのが、情報収集だ。書籍を読んだり、セミナーに参加したり、SNSで情報を集めたりした。身近な人や、自分を知らない社外の人に相談することで、フラットな情報収集ができ、客観的な考えや評価も得られた。これにより、自分が何に不安を抱えているのか、何がわからないのかが明確になった。それに伴い、キャリアの解像度も上がっていったのだ。笹川氏は「わからないことを明確にすることは非常に重要。努力の方向性が正しく定まり、進むべき大枠が見えてくる」と語った。

 さらに笹川氏は「結果論ですが、好きなことをしていたら、社内での信頼を築いておいたことは非常に良かった」と話した。得意な技術領域を持ち、小さなことでも懸命に取り組む姿によって周りの信頼を得た結果、プロダクトマネージャーになる機会を得られた。

コンフォートゾーンを抜け出して挑戦することで得られたものとは?

 プロダクトマネージャーとなった笹川氏は、エンジニア時代と比較した仕事の変化について話を移した。エンジニア時代は、詳細設計、実装、リリース、テスト、運用保守と、Howが中心の仕事だったが、プロダクトマネージャーではユーザーの課題発見、データ分析、課題の解決策の検討、優先順位付け、ステークホルダーとの連携など、What、Whyの仕事に変わった。

エンジニアとプロダクトマネージャーの業務の違い
エンジニアとプロダクトマネージャーの業務の違い

 「ジョブチェンジして半年経過しましたが、長期の課題立案が難しいと感じています。エンジニアとしてユーザー理解やドメイン知識には自信がありましたが、足りないと感じることも。ビジネスサイドとの関わりが増えたことで、コミュニケーションの取り方や巻き込み方にも課題を感じています」(笹川氏)

 エンジニア時代よりも考える範囲が広く、抽象と具体を行き来することが多いため、エンジニアとしての考え方の違いを実感している。一方で、エンジニアだったからこその利点もある。解決策のイメージがつきやすく、自分で判断できることもある。また、開発チームと共通言語でコミュニケーションが取れる点や、SQLやデータを見ることに抵抗がないため、データに基づいた判断がしやすい点も強みだ。

 コンフォートゾーンを抜け出して挑戦した笹川氏は、今では自分が進みたいキャリアの輪郭やスキル開発の方向性が見え始めている。 “分からないことを分かるようにする”ことを意識した行動によって、これまでにやってきたことや、これから何を実現したいかが明確になる。そうすることでこれまでためらっていたことにも踏み込めるようになった。将来に向け、経験値やスキルを増やせる良いサイクルの作り方を身につけたのだ。

挑戦することで、目標設定や振り返りができるようになる
挑戦することで、目標設定や振り返りができるようになる

 笹川氏は最後に、今回のデブストのテーマ「Be a changer, Be a challenger」に触れ「挑戦する中で、思うようにいかないこともあると思いますが、それによって必ず分かることや解像度が上がることが増えきます。みなさんも20代だからこそ、どんどん挑戦し、成長を加速していただければと思います」とコメントした。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://codezine.jp/article/detail/19839 2024/07/23 12:00

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