AI時代のエンジニアの生き残り戦略
昨今、AIの隆盛により、エンジニアの行く末を案じる声がある一方、エンジニアがカバーする領域は、猛烈な勢いで広がっている事実もある。このような両極の話が進む世界を、これからのエンジニアは、どのように渡り歩いていけば良いのだろう。3名からのメッセージを、それぞれ紹介する。
「いろいろな働き方がある中で、キャリアの選択肢のひとつとしてフリーランスがある。最初は少し怖いかもしれないが、どうにかなる。ひとりで悩まずに、私も含め、フリーランスの先輩方に相談してもらえたら」(エルコリ氏)
「フリーランスになっても、自分に合っていないと感じたり、家庭を持って安定が欲しくなったりしたら、再び会社勤めに戻ることはできる。私の周りにも、そういうエンジニアは少なくない。たとえ今の環境がつらくても、市場や領域を変えれば、誰にでも輝ける場所がどこかにあるはず。いろいろな方向にアンテナを張って、自分に合った場所を見つけてもらいたい」(藤木氏)
「僕がフリーランスになった2000年代初頭の混迷期に比べると、今はエンジニアにとって本当に良い時代。どの企業もエンジニア不足で、仕事も働き方も選びたい放題だ。きっと今なら、どんな業界のどんな職種にも就けるはず。勇気を出して、ドアを叩いてみてほしい」(K氏)
最後に、佐々木氏は、エンジニア採用にまつわる友人のエピソードを引用しながら、今後のエンジニアの在り方について、次のように述べた。
「EC企業に勤める友人によると、Webディレクターを募集したらたくさん応募が来るけれど、アプリディレクターで募集をしたら全然応募が来なくて困っているそうだ。アプリディレクターという新しい仕事に対する人材マーケットが存在しないのだろう。加えてこの先、AIがどんなに進化しても、“課題の設定”は人間の仕事として残り続けるという話をAIの研究者から聞いた。AIに課題解決をさせるために、どんな課題を設定するのか。それを決めて、資源配分の最適化を図る“ディレクション”が、これからのエンジニアの大きな仕事になると見ている。ディレクターとエンジニアの境目がなくなっていくのではないか」。