Zoom Video SDKの導入について
続いて、「なぜさらにZoom Video SDKを使ってアップデートしたか」が語られた。
課題としては、どうしてもコーチングの際にZoomのアプリケーションに移動するため、プロダクト体験として分断してしまうことだ。例えば、コーチング後にアンケートを書いてもらう、といったコーチング後の体験を作り込むのが難しい。もう一つは、今後の取り組みとしてビデオ通話中に、リアルタイム×マルチモーダルでデータを扱いたいため、自前のプロダクトの上でコーチングを実施している状態を作りたかった。
その上で、ビデオ通話の実装自体はできるだけライブラリに任せ、自分たちはコーチングのコアドメインの実装に集中したい。また、ミッションクリティカルな機能なため信頼性が重要になるため、Zoom Video SDKを使って"巨人の肩にちゃんと乗る"ことが大事と判断した。

Zoom Video SDK導入の成果や学びについて
昨年末リリースのため、まだ明確な成果が出ているわけではないと前置きしながらも、コーチング専用のビデオ通話機能をリリースしたことや、やってみてよかったことも共有された。

学びとしては、以下の3つが挙げられた。
- チャットや背景画像など、ビデオ通話の周辺機能の支援が大きい
- ユーザーはZoomやGoogle Meetと比較してくる
- ブラウザやハードウェア起因のトラブルに悩まされる
「学びで言うと、やっているとチャットや背景画像をぼかして、ビデオ通話であるような機能を作りたくなるんですよ。SDKがサポートしているので、周辺のエコシステムが強い。基本的にはそれに乗っかるだけで、Zoom相当のものが作れるところが良かったです」(松山氏)
改善点でいうと、ユーザーはZoomやGoogle Meetを使い慣れているため、基本的にそこと比較してくることだ。例えば、「美肌機能が欲しい」「Picture_in_Picture(PiP)機能がないとコーチングできません」といった要望が寄せられるそうだ。
さらに、ブラウザやハードウェア起因のトラブルが多く、シューティングが難しいのだという。これらは佐野氏に相談して、「Zoom Probe SDK」で解決の兆しが見えている、と松山氏は感謝を述べた。
セッションの終わりでは、佐野氏がZoom Developer Platformの最新情報をいくつか紹介した。数行のコードで手軽にVideo SDK を実装可能な「Zoom Video SDK UI Toolkit」、さまざまなデバイスで最適なパフォーマンスを実現できる「Video SDK 2.1.0 with WebRTC」、通信接続やデバイスの状態を検査する「Zoom Probe SDK」などである。

最後に佐野氏が、「ぜひ、mento様のように社内リソースは自社のコア機能にフォーカスいただき、コミュニケーションに関することはZoomのプラットフォームを活用していただきたい」と強調し、セッションを締めくくった。日本語でのZoomのAPIやSDKの最新情報はZoom Developers Communityでも提供しているため、無料メンバーに登録しておくことをおすすめする。