流れるように目的地まで運んでくれる──「Windsurf」という名前に込めた哲学
──自己紹介と現在の役割について教えてください。
Graham Moreno氏(以下、Moreno氏):私の名前はGraham Moreno(グラハム・モレノ)です。グローバルGo-To-Market担当VPを務めています。
Gardner Johnson氏(以下、Johnson氏):Gardner Johnson(ガードナー・ジョンソン)です。パートナーシップ開発の責任者として、グローバルでパートナーエコシステムの構築に注力しています。
Jeff Wang氏(以下、Wang氏):私はJeff Wang(ジェフ・ワン)です。Windsurfの初期メンバーの一人で、オペレーション、ビジネス開発、採用を担当しています。
──2025年4月には、社名をCodeiumから「Windsurf」に変更するなどのリブランディングが行われました。このWindsurfという名前の背景には、どのような哲学やこだわりがあるのでしょうか?
Wang氏:実は1年以上前から、当社のリブランディングを計画していました。「流れ」をうまく表し、目的地まで運んでくれるような言葉を探していたところ、「Windsurf」という名前を思いつきました。
なぜリブランディングをしたかったかと言うと、AIコード生成ツールを提供する企業で、私達の元の名前とよく似た「Codium」という企業が他にあったからです。そのCodium社が2024年9月、Qodoへと社名を変更したため、私達は一旦、社名変更を保留していました。
その後、自社で独自のAIエージェント搭載IDEを構築しようと考えた時、「今こそあの『Windsurf』という名前を使う時だ」と思ったのです。実際、製品にまつわる機能や用語は、水に関連した言葉を用いています。例えば、各リリースを「Wave」と呼び、コードベースを理解する推論エンジンには「Riptide(急流)」と名付けています。そして、「AI Flows」という、人間とAIエージェントがシームレスに連携する機能もあります。
Moreno氏:もう一つの理由は、旧社名の「Codeium」には「code(コード)」という単語が含まれていることで、開発者に閉じてしまうと考えたことです。私たちはソフトウェア開発者だけでなく、より多くの人々に価値を提供したいと考えています。私たちは「Windsurf」という言葉に込めた「目的地まで運んでくれる」という意味が気に入っているので、それをソフトウェア開発だけに限定したくなかったのです。
──2024年11月にリリースされたWindsurf Editorは、AIエージェント搭載IDEの先駆けと言われています。その開発の背景について教えてください。
Wang氏:「Windsurf Editor」を提供する前から、当社はプラグインの提供でよく知られていました。VS CodeやJetBrainsをお使いであれば、プラグイン(現:Windsurf Plugin)を追加してAI機能を利用できます。しかし、VSCode上ではできることに限界があり、私たちが作りたい機能を実現するためには、独自のIDEが必要でした。そこでWindsurfを開発することにしたのです。「みんな、今やっていることを中断して、この製品を作ろう」と呼びかけ、3カ月足らずで完成させたと思います。ありがたいことに、基盤モデルが向上していた時期でもありました。
Moreno氏:私たちが最大限の価値を提供するための最善の方法は、全体をコントロールすることです。プラグインは40もの異なるIDEに対応していますが、それはIDEごとの制限を受けることを意味しています。Windsurf Editorという独自のIDEによって、最大限の価値、最大限の利便性を提供できるようになりました。
──独自のIDEであるWindsurf Editorを開発する上で、最も大切な設計原則はなんでしょうか?
Wang氏:これまで、人がAIエージェントを使うにあたって見落としていたのは「もしエージェントが間違っていたら?」ということです。何かをさせようとして、エージェントが動けなくなったり、間違ったことをしたりしたらどうなるのでしょうか。
そこで、Windsurfで最も重要な設計原則として考えたのは「AI Flows」です。AI FlowsはWindsurf Editorの中核をなす機能であり、プロジェクト全体の文脈を理解し、AIエージェントが、実行中でも途中で停止してより多くの情報を提供したり、正しい方向に再度導いたりできるのです。Windsurfをリリースするまで、このようにAIエージェントと人間が協調して作業し、目的地まで導くことができるというコンセプトは、これまであまりなかったと思います。