プロセス・エンアクトメントの例
ここで、より理解を深めるために、Rational Team Concert(以下、RTC)のプロセス・エンアクトメントの動きの例をみてみることにしましょう。
「はじめて使うJazzシリーズ」の第3回で見たようにRTCでソース管理を行うことができますが、ソースを修正してチームのストリームに提出する際に、コメントを入れることとワークアイテムとの紐付けをしないと提出を許さない、というルールをツールに設定したとします。
それにもかかわらず、ある開発者がソースを修正してそのまま提出しようとしたとします。
すると、RTCはチーム・アドバイザー画面を表示して、ルールに違反していることを教えてくれます。
それでは、この違反を解消するにはどうしたらよいのでしょうか。
チーム・アドバイザーは違反があったことを教えてくれるだけでなく、画面の右側に解決策の欄があり、この場合どうすればよいか、3つの候補を教えてくれています。例えば今回の対応としては「既存のワークアイテムの関連付け」をして対応することとし、候補の中からそのリンクを選択してみます。
すると、ログインしているユーザーが担当しているワークアイテムが選択できる画面が表示されてきます。
適切なワークアイテムを選択して[OK]を押したうえで、再度「保留中の変更」ビューに戻り、チーム・アドバイザーの指示の通りにコメントをいれます。
再度、提出をします。すると、今度はエラーなく終了しました。
ここでのルール「ソースを修正してチームのストリームに提出する際に、コメントを入れることとワークアイテムと紐付けをしないと提出を許さない」は人手の運用に任せると徹底させるのが大変だったりうっかり忘れてしまったりということがありえます。しかしこのようにRTCが誘導してくれることで開発者にとってそれほど負担を感じることなくルールに従えるようになるわけです。
プロセスに効力を持たせる、プロセス・エンアクトメントの実現は他にもありますが、このようにツールが振る舞いを変えて開発者を適切なプロセスに誘導する動きはまさにプロセス・エンアクトメントの代表的なものです。
さぁ、プロセス・エンアクトメントがどういったものかということが理解できたと思いますので、RTCのプロセス・エンアクトメントについての動作と設定について詳しく見ていくことにしましょう。