構成要素 Part 2
呼び口配列(call port array)と受け口配列(entry port array)
同じシグニチャをもつセルが複数存在していて、場合によって呼び分けたい場合があります。例えば、ロガーでメッセージのレベルによってファイルやシリアルに出力先を変更したいとします。
このような場合、図4のようにロガーセルに呼び口配列を設けることで、ファイルやシリアルを並べて置くことができます。先ほど結合の分流はできないと書きましたが、呼び口配列により分けることができます。
図5は呼び口配列と受け口配列を組合わせて用いた例です。この図は通信端点tEPとTCP制御部tTCPのみを抜き出しています。
通信端点tEPのセルが配列として並んでいます。
TCP制御部tTCPには呼び口配列eTCPCBと受け口配列eTCPがあります。受け口配列では結合の合流に比べ、どこから呼出されたのかを区別することができます。tTCPのようにコールバックが必要な場合には有効です。
複合セルと複合セルタイプ
複合セルは、複数のセルを組合わせて、複合機能を備えた新しいセルを生成するためのものです。
図6は、リモート呼出を実現するためのRPCチャンネルを表す複合セルで、マーシャラ、アンマーシャラ、通信チャンネル、そして受け側(アンマーシャラ)を駆動するタスクを一まとめにして、1つのセルとして扱うことができます。
なお、同じ構造を持つ複合セルの総称を複合セルタイプと呼びます。また、複合セル(場合によっては複合セルタイプ)を慣用的に複合コンポーネントと呼ぶことがあります。
まとめ
今回はTECSによるアプリケーション開発の流れと、コンポーネント図および構成要素について説明しました。今回説明したもので、必要な要素はすべて出ています。まだ説明していない要素がいくらかありますが、それらは特別な応用として必要なもので、機会があれば説明したいと思います。
さて、次回は、いよいよTECSの中心となるCDLについて説明します。