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ASP.NET MVCフレームワーク 正式版 入門

ASP.NET MVCフレームワークの概要を理解する

ASP.NET MVCフレームワーク 正式版 入門(1)

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ModelのデータとViewDataの利用方法

 ASP.NET MVCはポストバックとViewStateから、ルーティングによるURLマッピングが行えるようになりました。どんなHTTPリクエストもControllerクラスを経由してからViewPageのレンダリングを行います。それではどのようにしてデータを渡すのでしょうか? ここでは、Modelのデータの取り扱いと、ViewDataについて解説します。

Modelのデータの特徴

 ASP.NET MVCでは、ModelのデータをController・View側で簡単に取得できます。

 まずは、Controller側です。

PubsController.cs の一部
public ActionResult Index()
{
    // publishersテーブルすべてを取得するLINQ
    pubsEntities pubs= new pubsEntities();
    var publish = from p in pubs.publishers
                  select p;
    // ViewはパラメタにModelを渡すことができる
    // Index.aspxページに、上記のLINQ結果をパラメタとしてルーティング
    return View(publish);
}

 publishはModelのレコードですが、Viewメソッドのパラメタとして指定すると、Viewへデータを渡します。

 続いて、View側の設定です。View側では、ViewPageに対してModelを型付けします。

 型付けとは、Modelsフォルダ内に配置したEDMXなどのデータの型をViewPage上で参照追加するという意味です。ViewPageのページ ディレクティブ内では次のように追記されています。

List.aspx の一部
<%@ Page Title="" Language="C#" MasterPageFile="~/Views/Shared/Site.Master" Inherits="System.Web.Mvc.ViewPage<SampleMVC.Models.publishers>" %>
<中略>
    <% foreach (var item in Model) { %>

        <tr>
            <td>
                <%= Html.ActionLink("Edit", "Edit", new { id=item.pub_id }) %> |
                <%= Html.ActionLink("Details", "Details", new { id=item.pub_id })%>
            </td>
            <td>
                <%= Html.Encode(item.city) %>
            </td>
            <td>
                <%= Html.Encode(item.country) %>
            </td>
            <td>
                <%= Html.Encode(item.pub_id) %>
            </td>
            <td>
                <%= Html.Encode(item.pub_name) %>
            </td>
            <td>
                <%= Html.Encode(item.state) %>
            </td>
        </tr>

    <% } %>

 ViewPage上で利用するModelの型が何かをViewPage<TModel>の形式で設定します。型付けされた型はModel.XXXX(プロパティ名)という形式でデータの取得ができるようになります(ただし、どのレコードのデータを表示するかはController側で処理を記述する必要がある)。型付けする一番のメリットはViewPage上でインテリセンスを活用したコーディングができることでしょう。HTMLやCSSを組み合わせてページを作成して行く過程で、Modelに対してインテリセンスが活用できると、タイプミスを減らせるのはもちろん、開発の効率も上がります。

ViewDataの特徴

 ViewDataは、ASP.NET MVCで利用される「Model以外のデータをControllerからViewへ渡したい時」に利用します。ViewDataはDictionary型で、基本的な利用方法はDictionaryクラスと変わりません。、キーとデータを同時に指定することで、データを格納します。このViewDataを利用してControllerクラスからViewPageへ渡すデータを紐付けることができます。

PubsController.cs の一部
public ActionResult Hello()
{
    // ViewDataにキーと値を格納
    ViewData["Hello"] = "Hello, MVC Framework!";

    //ControllerクラスのViewメソッドで、
    // ルーティング先のViewPage名を設定する
    // この場合はPublisher.aspxページ
    return View("Publisher");
}
ViewメソッドにViewPage名とModelを設定するには?

 コメントでも記述していますが、Viewメソッドは第一パラメタにModelの他に、ルーティング先のViewPage名を設定することもできます。もし、どちらも設定したい場合は「return View("ViewPage名",Model名);」と設定します。

 View側では次のように記述し、値を取りだします。

Publisher.aspx の一部
<%= Html.Encode(ViewData["Hello"]) %>

 ViewDataはアクセント的な機能です。必要な場合に活用しましょう。

認証機能

 ASP.NET MVCでは従来のASP.NETのMembership機能などが利用できます。Membership機能を利用した「AccountControllerクラス」というControllerクラスと、その表示を行うViewPageがAccountフォルダ(Viewsフォルダ内)です。これにより、開発者はプロジェクトを起動するだけで、認証機能を利用できます(図3~6)。

図3 プロジェクト作成直後に実行した画面
図3 プロジェクト作成直後に実行した画面
図4 ログイン画面
図4 ログイン画面
図5 ユーザー登録画面
図5 ユーザー登録画面
図6 ログイン後の最初の画面
図6 ログイン後の最初の画面

 このままでも利用できてしまいますが、どのように認証が実装されているのかLogOnメソッド部分をかいつまんで解説します(メソッドが細分化されているので大まかな流れのみ)。

AccountControllerクラスの一部
using System;
using System.Globalization;
using System.Security.Principal;
using System.Web.Mvc;
using System.Web.Security;

namespace プロジェクト名.Controllers
{

    [HandleError]
    public class AccountController : Controller
    {

    <中略>

        // アプリ名.Controllers.IFormsAuthenticationインターフェイス
        // の設定
        public IFormsAuthentication FormsAuth
        {
            get;
            private set;
        }

        // System.Web.Security.MembershipProviderの設定
        public MembershipProvider Provider
        {
            get;
            private set;
        }
    <中略>

    //AcceptVerbs属性によって、LogOnメソッドはHttpリクエストがPostの場合に実行される
        [AcceptVerbs(HttpVerbs.Post)]
        public ActionResult LogOn(string userName, string password, bool rememberMe, string returnUrl)
        {
        // 入力検証と、ログイン認証を行う
            if (!ValidateLogOn(userName, password))
            {
                return View();
            }

        // 認証成功時に認証チケットを発行
            FormsAuth.SignIn(userName, rememberMe);
        // returnUrlが指定の有無確認後認証ページからリダイレクト
            if (!String.IsNullOrEmpty(returnUrl))
            {
                return Redirect(returnUrl);
            }
            else
            {
                return RedirectToAction("Index", "Home");
            }
        }

 ValidateLogOnメソッドはユーザー名、パスワードがnullかどうかを判定後、そのユーザー名とパスワードが登録されているかどうかをMenbershipプロバイダ経由でチェックします。認証成功時には、SignInメソッドが認証ユーザーに認証チケットを作成、CookieかURL(Cookieを利用していない場合に利用)に追加します。その後、LogOnメソッドのパラメタ「returnUrl」が指定されている場合は、そのページに、指定されていない場合は、/Home/Indexへとリダイレクトされます。

 ユーザー登録やパスワード変更、ログアウトに関しても同様にMembership機能を利用して実装しています。認証部分はRTWにともない作りこまれているので、興味がある方はぜひソースを確認してください。

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HtmlHelperクラス

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト ナオキ(ナオキ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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