Google App Engineのインフラ・サーバ構成
次にスケーラブルな環境を提唱するGoogle App Engineのサーバ群は、どのように構成されていて、それぞれがどのような役割を担っているかをみてみましょう。図8に、Google App Engineで提供されるサーバ群を示しました。
(1)Front End
HTTPリクエスト受信とレスポンス送信を担当します。受け付けたリクエストを、動的コンテンツの場合は AppServer、静的コンテンツ(HTML,画像、CSSなど)の場合はStatic File Serverに割り振り、ロードバランサの役割を果たします。ユーザーのWebブラウザからApp Engineに向けて送信されたHTTPリクエストは,ユーザーから最も近いGoogleデータセンターに到着した後,Google内部のネットワークを経由し,リクエストがFront Endに到着します。
(2)AppServer
アプリケーションサーバです。一般ユーザーがpythonまたはJavaで実装し、Google App Engine上にデプロイしたアプリケーションを実行します。システムの負荷に応じて、App Serverの割り当て数は増減します(自動スケーリング)。
(3)App Master
アプリのデプロイ管理、バージョン管理、Front EndにAppServerの位置を通知します。
(4)Static File Server
静的ファイル(HTML、画像、CSSなど)を扱います。
(5)Datastore
アプリケーションが作成したデータを保存します。バックエンドはBigtableで、Bigtableをラップし使いやすくするためのAPIが提供されています。Datastoreに保存されたデータはGFSの仕組みによって3箇所のノードに同一のデータが保存されるので、データの消失リスクはほとんどありません。
(6)Memcache
アプリケーションが、一時的に使用できるメモリ領域です。Datastoreへのデータ保存よりも高速に動作するので、リクエストをまたがった一時的なデータを保存するのに最適です。
Google App Engineで使用できるAPI・サービス
Google App Engineでは、Datastoreにアクセスして、データを操作する以外にも、さまざまな処理が実行できるようなAPIをいくつか用意しています。これらを使用することでWebアプリケーションで必要なさまざまな機能を実装することができます。
サービス名 | 説明 |
URLフェッチAPI | HTTPリクエストで外部ホストと通信ができるAPI |
Images API | 画像データの加工、変換処理を実行できるAPI |
メール送受信 | メールの送受信を実行できるAPI |
Cron | Google App Engine上で設定した時間にプログラムを動作させることができるサービス |
Task Queue | キューのサービスです。キューに処理要求を格納することで、バックグランドで処理が実行されます。 |