1. コンセプトメイキング
まずポイントとして挙げたのが『ターゲットを決める』こと。欲張り過ぎず、明確に定めるべしと指摘し、「沢山出せば良いものでもないですし、ターゲット層を小さく攻めて、そこから広げていく方が良いでしょう」と語りました。
そして『いつ、どんな時に使うのか、ユースケースを想定する』ことをここでのポイントとして挙げました。秋葉氏の関わった『Simeji』を例に挙げ、「Simejiには、実は録音機能が備わっていたものの、使ったことがある人はいなかった…」と嘆く一方で、同じ時期に出ていた『VoicePic』というアプリについては、PVを観ただけで利用シーンが想像でき、『何か楽しそう』と思えたそうです。秋葉氏は、「こういった形でアピールしていかないと厳しいのではないか」と語りました。
3点目には『使いたい用途での"世界観"を大切に』と指摘。スマホであれば、夜布団で使うケースもあるだろう=黒背景に。また、歩きながら使う場合=華美なアニメーションは不要、といった具合です。いかにシンプルに、使いたい用途での世界観を出せるか、気持ちにさせられるかが重要だとコメントしました。
2.画面の設計
画面の設計では、『使いやすさ』と『コミュニケーション』の2点をポイントとして挙げました。
『使いやすさ』については、主に要素の数に関する違いとバランスに言及。シンプル過ぎると操作アクションが多くなってしまうし、逆に要素が多くなってしまうと最初に迷ってしまう。デベロッパーは割りと難しいことを考えがちで、『多い』方に慣れがちですが、一般の人から見ると「うっ」となることも多い。「良いバランスを取ることが重要なのでは」と秋葉氏はコメントしました。
『コミュニケーション』については、「とにかくシンプルに!シンプルに考えて、シンプルになり過ぎることはないと思います」と強調。
3.デザイン・実装
この項では、『グラフィックで表現する時に、何に気をつけているか』『配置や余白』などについてそれぞれ指摘を行いました。
グラフィックについては「すべては観察して勉強する、これに尽きる」と秋葉氏は語ります。最近目についた電車の中吊り広告を例に挙げ、観察視点で眺めてみるだけでもいろいろな気づきや発見があるのだなぁということを説明。
配置や余白についても実アプリを例に挙げ、グルーピングやスペースの調整度合いについて改善前・改善後の例を示し、こういった点に気を付けて対処を行うことでより良い改善を行うことができるということを紹介しました。
まとめ
以上ポイントを示した上で、秋葉氏はこれらの過程を『料理』に当てはめ、「コンセプトメイキングをちゃんと把握しておかなければ、良い物は作れない。デザイナーがやりがちな部分ではあるので、デベロッパーもこの点に積極的に関わっていくべきだと思います。納期がタイト、などの理由でなかなか難しいとは思いますが、重要なのではないでしょうか」とまとめました。
さらに、デベロッパーサミット2013のテーマである『Action!』にちなみ、秋葉氏は
「一般教養レベルを皆が持って欲しい。チームのみんながそのレベルのものを持つことで、より良い物が作れると思います。デザイナーだけど、プログラムで何ができるか知っているから指摘や指示ができる。エンジニアだけど、デザインの最低限のTipsは知っているから指摘や指示ができる。デザインを分からないデベロッパーで良いのですか? デザインを、デザイナー任せにして良いのですか?」
と会場参加者に向けて問い掛けて、セッション講演を締めました。