バズワードになっているIoTのほんとのところ
調査会社やマーケティング会社からは、大変大きな市場であるとIoTは叫ばれています。しかし、その調査推計の根拠となる数値は、各調査会社により異なっています。ただ、ほとんどの調査会社が、市場予測のために計上している項目があります。それは私たちの社会生活を支えるさまざまな機械から得られるセンサーデータの収集です(図1)。なお、下図中の「テレメトリング」とは、通信技術を用いて計測器などを遠隔地から読み取る技術です。
こちらも以前に紹介しましたが「モノのインターネット(IoT)」と呼ばれ、あたかも新しい市場が急激に作られていっているようにみえますが、その内容はとても古い歴史を持つ市場なのです。「インターネット家電」「IPv6家電」「すべての電球にIPアドレスを!」「ペットに携帯端末を!」「M2M(Machine-to-Machine)」「電子カルテ」「電子タグ」など、思い出せば頭痛がしてくるほど、たくさんの新規参入への取り組みがありました。
こちらも1年越しで繰り返しとなりますが、こういった古い歴史を持つ市場なので「新規参入は、市場を間違えると旧来の競合他社との熾烈な競争」となる点にご注意ください(図2)。
古い話題ばかりしていても面白くありません。次に、私たちはカジュアルにIoTをどこまで楽しむことができるようになったかをみていきましょう。
図3は現在入手可能なBluetooth対応センサーおよびBluetooth/Wi-Fi対応端末の例です。TI社から出ているセンサーでは、赤外線および周囲温度センサ、周辺光センサ、加速度計、ジャイロスコープ、コンパス、9軸モーショントラッキングデバイス 、湿度センサ、大気圧センサ、磁気センサを搭載し、Bluetoothを介してスマートフォンやBluetooth/Wi-Fi対応端末との間でデータ通信が行えます。Intel社のEdisonやスティック型Android端末はBluetoothやWi-Fiを介してさまざまなセンサーや端末とデータ通信が行え、さらに独自のアプリケーションやネットワーク接続を望むままにプログラミングできる環境が整っています。
過去と大きく異なる点は、こういった以前は「組込み系の工業製品」でしかできなかったことが、よりカジュアルで安価なデバイスとして世界中に流通し始めたということでしょう。