サービス(2)
サービスの起動
最後に、手順4.として、アクティビティからサービスを起動する処理を記述します。これは再生ボタンをタップした時の処理なので、onPlayButtonClick()メソッドに記述します。SoundStartActivityにonPlayButtonClick()メソッドを追記してください。
public void onPlayButtonClick(View view) { Intent intent = new Intent(SoundStartActivity.this, SoundManageService.class); // (1) startService(intent); // (2) Button btPlay = (Button) findViewById(R.id.btPlay); // (3) Button btStop = (Button) findViewById(R.id.btStop); // (3) btPlay.setEnabled(false); // (3) btStop.setEnabled(true); // (3) }
サービスの起動は、アクティビティの起動とほぼ同じです。
まず、Intentクラスをnewします。それが(1)です。その際、第2引数としてActivity起動の場合はActivityクラスを指定しましたが、Serviceでは同様にServiceクラスを指定します。その上で、startService()メソッドを実行します。それが(2)です。引数として(1)でnewしたIntentオブジェクトを渡します。
なお、(3)はサービスの二重起動を防ぐため、再生ボタンを押せないように変更し、同時に停止ボタンを有効にしています。
この状態で、一度アプリを再起動してみてください。再生ボタンをタップすると、メディアが再生されます。再生中にバックボタンを押すとアクティビティが終了しますが、その状態でもメディアの再生は続くことが確認できます。
サービスの停止
では次に、停止ボタンの実装に移りましょう。
今回、メディア再生をサービス上で行っているので、アクティビティから直接メディア再生を操作できません。そこで、メディア再生の停止は、サービスの終了で代替します。停止ボタンタップ時の処理であるonStopButtonClick()メソッドを追記してください。
public void onStopButtonClick(View view) { Intent intent = new Intent(SoundStartActivity.this, SoundManageService.class); stopService(intent); // (1) Button btPlay = (Button) findViewById(R.id.btPlay); Button btStop = (Button) findViewById(R.id.btStop); btPlay.setEnabled(true); // (2) btStop.setEnabled(false); // (2) }
onPlayButtonClick()メソッドとの違いは、(1)と(2)です。
サービスの停止は、stopService()メソッドを使います。これが、(1)です。この時、引数として渡すIntentオブジェクトはonPlayButtonClick()と同様に作ります
なお、(2)は再生ボタンと停止ボタンの使用可・不可の入れ替えを行っています
この状態で、一度アプリを再起動してみてください。無事、停止ボタンが機能することが確認できるでしょう。
ノーティフィケーション
以上で、バックグラウンドでメディア再生が無事行えるようになりました。ただ、アクティビティを終了させた状態で再生が終了した際に、本当に終了したのか、何か不具合でもあったのかわかりません。これは、サービスが画面を持たないからです。そこで、活躍するのがノーティフィケーション(通知)です。
ノーティフィケーションとは
ノーティフィケーション(通知)とは、ホーム画面の通知エリアに表示する機能です。
ホーム画面の一番左上、ステータスバーの左側にアイコンが表示されています。ステータスバーのこの領域が通知エリアであり、ノーティフィケーション機能を使うと、ここにアイコンを表示することができます。さらに、ステータスバーをホールドしたまま下へスライドすると、以下のように通知ドロワーが表示されます。
ノーティフィケーションの実装
では、再生が終了した際に上記のように、通知エリアにアイコンが、通知ドロワーにメッセージが表示されるように改造していきましょう。
再生が終了したときなので、PlayerCompletionListenerのonCompletion()メソッドに追記します。
public void onCompletion(MediaPlayer mp) { NotificationCompat.Builder builder = new NotificationCompat.Builder(SoundManageService.this); // (1) builder.setSmallIcon(android.R.drawable.ic_dialog_info); // (2) builder.setContentTitle("再生終了"); // (3) builder.setContentText("音声ファイルの再生が終了しました"); // (4) Notification notification = builder.build(); // (5) NotificationManager manager = (NotificationManager) getSystemService(Context.NOTIFICATION_SERVICE); // (6) manager.notify(0, notification); // (7) stopSelf(); // (8) }
(8)はもともと記述されていたものです。
通知(Notification)を出すには、以下の手順を取ります。
まず、Notificationを作成するBuilderクラスをnewします。それが(1)です。その際、引数としてコンテキストを渡します。Activity同様ServiceクラスもContextクラスの子クラスなので、SoundManageService.thisという記述でコンテキストとして指定できます。
生成したBuilderには少なくとも3種の設定を行う必要があります。それが、(2)~(4)です。
(2)で通知エリアに表示されるアイコンを設定します。ここでは、Android SDKがもともと用意してある「i」のアイコンを使用しています。
(3)で通知ドロワーでの表示タイトル、(4)で同じく表示メッセージを設定します。
設定が済んだところで、BuilderからNotificationオブジェクトを生成します。それが(5)です。
生成したNotificationを通知エリアに表示させるには、NotificationManagerクラスを使います。それを取得しているのが(6)です。これは、getSystemService()メソッドを使います。このメソッドは、ActivityやServiceの親クラスであるContextクラスににあるメソッドで、OSレベル(システムレベル)で提供している各種サービスのオブジェクトを取得するメソッドです。引数としては、Contextクラスの定数を使い、サービス名を指定します。ここでは、通知機能であるNOTIFICATION_SERVICEを指定します。ただし、このメソッドの戻り値はObject型なので、NotificationManagerにキャストする必要があります。getSystemService()メソッドの引数としてどのような定数があるのか、それらの戻り値がどのような型なのかはAPI仕様書を参照してください。
最後に、通知します。これが(7)です。これは、NotificationManagerのnotify()メソッドを使用します。引数は2個で、第2引数に(5)で生成したNotificationオブジェクトを渡します。第1引数はこのNotificationを識別するための番号で、アプリ内で一意になるように設計します。ここでは、0を指定しています。
この状態で、アプリを再起動し、再生ボタンをタップし、その後アクティビティも終了させてください。メディア再生が終了したら、通知エリアに図3のようなアイコンが表示されます。また、ステータスバーを下にスライドさせると、通知ドロワーに図4のメッセージが表示されています。