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「EuroSTAR 2018」レポート

AIとロボットのテストに必要な「新しい」品質特性とは【EuroSTAR 2018】

「EuroSTAR 2018」レポート 第1回

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ISO25010の品質特性を拡張する時が来た

拡張提案は右側3つオレンジの品質特性3列
拡張提案は右側3つオレンジの品質特性3列

 実際に従来型のテストと、AIとロボットに対するテストは何が異なるのでしょうか? セッション参加者からは、以下のような答えがでてきました。

  1. 期待値が1つに定まらない(学習の状態に依存する)
  2. 中身(White box)を理解するのが難しい
  3. 学習プロセスそのものをテストする必要がある

 特に、1つ目の答えはとても難しい課題です。なぜなら、期待値が1つではないため、何をテストすればいいのかが特定できません。

 しかしながら、以下のような戦略をとることができます。

  • 期待値の幅を定義する
  • 入力をコントロールする
  • 意図した環境でテストする
  • 新しい品質特性でテストする

 このチュートリアルでは、「新しい品質特性でテストする」という点に着目し、従来型ではなく、新しいアプローチやテストのアイデアを考えていきました。

 テストのアイデアを考えるときに、ISO25010の品質特性(Qualiry Characteristics)を考えますか? 機能性、信頼性、使用性、効率性、保守性、移植性などなど、AIとロボットにおいても、これら品質モデルは変わらず重要です、しかし、残念ですがこれだけでは足りません。

 例えば、工業機械に使われるAIとロボットだと、人間に怪我をさせてはならないといった、ヒューマンフレンドリな考え方が求められます。チャットボットでは、多少のユーモアが求められるケースもあるでしょう。

 こういった「足りない部分」に対し、氏は以下のような3つの品質特性を追加することを提唱しています。

  1. インテリジェントな動作 (学習しやすさ、選択の透明性)
  2. モラル (エチケット、プライバシー、フレンドリー)
  3. パーソナリティ (雰囲気、ユーモア)

 ここまでの情報をふまえて、テスト対象としてオランダの航空会社KLMのチャットボットを選び、ワークショップを進めていきます。

テスト対象1:チャットボット

 まずはじめに、私のグループでは、品質特性とアイデアを洗い出しました。1つめの品質特性として出てきたのは「自然なやり取り(Natual Interaction)」です。例えば、「明日」と答えると明日の日付(2018/11/11といったフォーマット)として解釈できるかという観点です。

 2つめの品質特性は「エチケット」です。例えば、行儀の悪い言葉を使われた場合に、うまく無視するためのものです。

 3つめは「ヒューマンフレンドリ」。挨拶などに自然に答えられるかどうかです。

 これらの品質特性に対して、入力、期待値、そして実際にテストした結果を記入し、そこから観察できる内容を洗い出していきます。

 私のグループでは、「ASAP(as soon as possible "できるだけ早く"の略)」という入力に対して、直近のフライトを提案してくれることを期待していました。しかしながら、チャットボットは理解してくれず、「Go to hell (地獄へいけ)」と聞くと「ヘルシンキ空港ですか?」という返答が返ってくるため、回答にとまどってしまいました。

次のページ
テスト対象2:ミルク搾乳ロボット

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EuroSTAR 2018レポートチーム(ユーロスター2018レポートチーム)

岡本 明 アクセンチュア株式会社 テクノロジーコンサルティング本部 シニアマネージャー 千葉真弓 アクセンチュア株式会社 テクノロジーコンサルティング本部 シニアマネージャー 藤原 史和 楽天株式会社 サービス品質保証グループ マネージャー 米山 允章 株式会社メルカリ QAエンジニア 藤原...

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