チームの課題には、曖昧な部分を明確化するフレームワークで対処
ヘルスモニターによってチームの課題を把握できたら、それを解消するための処方箋「プレイ」を実行する。プレイにもいくつかあるが、今回は、「OKR(オーケーアール)」「プロジェクトポスター」「DACI(デイシー)」の3つが紹介された。
OKRは、Objectives and Key Results(目標と主要な結果)の略で、Googleなども採用している目標の設定・管理方法のひとつ。達成したい目標(O)を、挑戦を促すように定性的な言葉で表し、それに対する成果として、目標への進捗を定量的に測る指標(KR)を設定する。KPIを指標としている組織は多いが、数値目標を明確にしても、そもそもなぜそれを達成しなければならないのかが重要であることがわかり、OKRが使われるようになった。
皆川氏は、ヘルスモニターで「価値と指標」「共通認識」「ベロシティ」に問題がある組織にはOKRが有効であるとし、「チームの成功が何なのか、なぜこのプロジェクトを進めているのかについてはOを定めることで明らかになりますし、測定できるKRとベロシティは直結すべきだと思います。Oの例としては、顧客満足度の向上や経常収益の増加、システムパフォーマンスの向上、顧客の増加などが挙げられます。また、チームリーダーがOKRをメンバーに伝えて終わりではなく、一緒に考えていくことがチームビルディングの大きなポイントです」と説明した。
プロジェクトポスターは、ヘルスモニターで「共通認識」「ワンページャー」が弱いと評価されたチームに向けた処方箋だ。チームおよび関係者と共有するプロジェクトの最初の概要を1つのページにまとめるもので、プロジェクトをなぜ行っているか、どのように成功を判断するか。どのような解決策があるかを記していく。関係者はこれを見ることで、そのチームが何をしているかを効率的に周知できる。
DACIは、意思決定の弱いチームに向けたプレイだ。ヘルスモニターでは「バランスのとれたチーム」や「共通認識」など、責任が明確でないことに起因する課題に対処する。DACIのDは、最終決定者(Driver)、Aは承認者(Approver)、Cは貢献する関係者(Contributor)、Iは通知される人(Informed)を指し、それぞれを決定することが重要となる。人数の少ない組織なら、意思決定は比較的容易であるが、組織の人数が多い場合はあちこちからいろいろな意見が出てきて意思決定に支障を来す場合があるため、意思決定に関わる役割を決め、組織のコンセンサスを得て置くことがポイントというわけだ。
なお、OKR、プロジェクトポスター、DACIともに、アトラシアンが提供するツールConfluenceやTrelloにテンプレートが用意されている。皆川氏は最後に、これらのツールの利用を促すとともに次のようにコメントした。
「チーム作りの材料としてTeam PlayBookを紐解いて、自身の組織にあった形に作り変えていただきたいと思います。またアトラシアンでは、どのように働くかということを非常に大事にして研究しています。情報サイトも用意していますのでぜひご覧ください」
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