開発者が電子署名機能を追加する上で、知っておくべきこととは
――SaaSのメリットはそのままに、再販型としてシステムに組み込めるというのは画期的だと思います。具体的には、どのようなユースケースがありますか?
中藤:国内ではミュートス様が提供する製薬企業向けの副作用情報収集管理システム「MESICOT(メシコ)」に提供が始まっていますが、現段階では海外での事例が進んでいるので、そちらから紹介しますね。オランダのLIFT Software(以下、LIFT社)は、20年以上にわたってソフトウェア業界に携わり、時間管理や請求書作成ソフトなどを含む、プロジェクトマネジメントシステムを提供している会社です。同社が提供しているSaaS型パーケージに、CM.comの電子署名システム「CMサイン」をAPI連携で統合し、同社の機能の一つとして顧客に販売しています。
同社が提供するソフトウェア上でシームレスに「CMサイン」の電子署名機能を使用することできます。「CMサイン」に別途ログインする必要もないため、別のシステムであることに気づかないことも多いそうです。実際に担当者からも、「今回の統合で、顧客が見積書へ瞬時に対応できるようになった。自社のSaaS型パーケージに電子署名機能を追加することで付加価値が向上し、売上にも良い影響が出ている」との声をいただいています。
牧野:ユーザー企業の反応はどうですか?
中藤:LIFT社の顧客の一つで、JEコンサルタンシー社という金融コンサルタント会社では、25人のコンサルタントを雇用し、自営業者との取引も行っています。2020年6月からLIFT社が提供するサービス上でCMサインを使用し始め、顧客への見積書や雇用契約書、自営業者への契約書などに電子署名を適用しています。
LIFT社のソフトウェア上では、送付先のメールアドレスを記入するだけで、署名依頼者に署名の依頼メールが届き、依頼された側は指定されたシステムにアクセスして署名するだけで完了します。こうした電子署名の仕組みが簡便に導入できたことで、紙や印刷のコストはもちろん、業務効率化を実現し、時間とコストを大幅に削減できました。また、オランダでは特に政府関連のプロジェクトでは、署名が法的に有効であることを証明する証拠署名の履歴ログである「監査レポート」が必須なのですが、CMサイン上で署名した際に監査レポートが自動送信されるので人為ミスの削減にも貢献しています。
飯田:いつも使っているシステム上で電子署名をするだけであれば、ITに弱い人でもスムーズに対応できそうですね。監査レポートの自動送信も法務の人間には嬉しい機能だと思います。
――エンドユーザーだけでなく、ソフトウェア開発企業にとってもメリットが大きいと思いますが、自社システムに組み込んで販売する、再販式電子署名を選ぶ上で、開発者が知っておくべきこと、注意すべきことはありますか。
牧野:ソフトウェア開発企業で特に気をつけるべきといえば、電子帳簿保存法の保存義務を満たすようにシステム構築をする必要もあるでしょう。同法は何度か改正されていますが、以前は紙ベースでも保存する必要がありましたが、認定タイムスタンプなど、一定要件を満たせば電子データでの保存が認められるようになりました。CMサインのようにはじめから入っているか、システム側で備えているか、いずれかであれば基本は問題はありません。
生産性やUXを向上させ、電子署名機能をより便利で使いやすいものに
――CMサインのような再販型電子署名システムで、実際にAPIを実装するにあたって、他に便利な機能はありますか。
中藤:APIを実装するにあたっては、CMサインの場合、機能面として開発難易度が高い”電子署名依頼画面”のインタフェイスをそのまま利用できます。電子署名依頼機能は、契約者に記入してほしい日付や名前、印鑑などを、ドラッグ・アンド・ドロップで作成するものなのですが、画面はかなり複雑な開発が必要なんですね。それをそのまま導入できるのは、ソフトウェアの付加価値向上に大きく貢献すると思います。
牧野:企業にとっては、やはり商習慣的に電子印鑑などは気になるようです。
中藤:けっこう海外の電子署名サービスには電子印鑑機能がないことが多いですね。CMサインも日本企業からの要望が高いので2月にデジタル印鑑作成機能を新たに追加しました。個人の認印、法人の角印、代表社印の3種類を作成でき、利用用途に合わせて選択できるようになっています。
――最後に、今後、電子署名機能にはどのようなことが求められていくと思われますか?
中藤:現在は、コロナの影響で電子署名サービスを利用してみようという、検討段階の企業が増えてきました。今主流なのはプラットフォーム型ですが、使い慣れるにつれて、前述のような業務フローの効率化や書面保存といった部分が気になるようになると思います。そうなった時に、CMサインのように電子署名をあらゆる業務システムの機能に直結して追加することで、業務効率化を実現し、コストや時間を削減できれば、結果として電子署名の普及につながると考えています。現在はBtoBサービスの事業者の利用が多いですが、遅れてBtoCサービス事業者でも普及が進むと考えられるので、たとえばEメールだけでなくSMSやセキュリティ上安全性の高い+メッセージで配信できる機能を搭載しています。そうしたニーズに先回りして、きめ細やかに対応していきたいと考えています。
飯田:現在は米国がトップランナーですが、欧州もかなり進みつつあり、それに伴ってアジアなど他の地域でも電子的記録や電子署名の導入が進んでいくでしょう。その中で、我が国でも企業の競争力の観点からも、しっかり対応していく必要があるのは間違いないでしょう。
日本企業は、これまで従来の仕事の進め方に頼りがちでしたが、他社が対応するタイミングを待つのでなく、自社の業務効率化、働き方改革、リモート業務、DXなど、企業変革やデジタル化のコンテキストの中で対応していかなければ、世界的な時流に置いていかれるおそれがありますね。ぜひ、できるところから結局的に取り組んでいただければと思います。
牧野:使い始めたところも、慣れてきたら全社的に効率的に統合されたより便利で使いやすいものを求めていきたい欲が出てくるでしょう。その中でいい形で競争が生まれて、より使いやすく便利な電子署名システムになっていくことを期待しています。
――本日はありがとうございました。
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