岩佐氏が考えるFileMakerの魅力とは?
現在は冒頭でも記述した通り、FileMakerプラットフォームを主軸にした事業を展開している岩佐氏だが、中でも多いのがFileMaker導入による内製化支援だ。内製化支援をした企業では、3年も経つと非開発者の人たちも自ら、目の前にある課題を解決するためのソフトウェアをFileMakerで開発し出す。その出来は「一般的なプログラマも顔負けするぐらい」と岩佐氏は言う。
特に製造業の場合、エンドユーザーの人たちが「もっと良いモノ、もっと効率的なもの、もっとクールなモノを作りたい」と、モチベーションを高くして学習に取り組んでいる。技術をキャッチアップするスピードも速く、「FileMakerで課題を解決するカスタムAppを開発すると、現場のユーザーからも喜ばれるので、さらに開発へのモチベーションが上がる。そういう内製化への良い循環が生まれています」(岩佐氏)
このように開発初心者でもすぐに使えるハードルの低さはFileMakerの特長だが、岩佐氏はFileMakerのどこに魅力を感じているのか。
「今、ノーコードやローコード開発ツールに注目が集まっています。ノーコードだと、第一歩を踏み出すのは容易ですが、システムを成長させようとすると限界がくるのも早い。例えばノーコードで複雑な処理をさせようとすると、急にJavaScriptで書かないといけないなど、ハードルが上がるんです。一方、FileMakerであればローコードでありながらノーコード的にも使え、さらにプロコードにも対応しています。銀行の勘定系や保険会社の基幹システムのようなシステムは作れませんが、30億円から100億円ぐらいの中堅・中小企業の基幹システムであれば、十分FileMakerで構築できます。万一、FileMakerで対応できないところがあれば、その部分だけ他の言語で作れば良いと思います。第一歩を踏み出しやすく、かつ本格的なシステムが作れるところが魅力ですね」(岩佐氏)
一般的な開発と比べ、圧倒的にコードを書く量が少なく、形になるスピードの速さもFileMakerの特長だ。これまでならエンドユーザーにヒアリングして、プロトタイプを見せるまでに1カ月かかっていたことが、FileMakerなら3日後には動くモノを見せることができる。
「イメージ通りのものができたとお客さまに喜ばれることももちろん嬉しいのですが、お客さまと話している時に出てくるアイデアやインスピレーションをすぐ形にできる。コードを書く量が圧倒的に少ないので、お客さまと話す時間も増える。だから本当に使えるシステムが作れる。開発者としてFileMakerを使う醍醐味はそこだと思います」(岩佐氏)
おすすめの勉強法は「まずは動くモノを作ってみること」
開発者にとっても魅力にあふれるFileMaker。開発初心者でも容易に扱えるツールだが、「FileMakerが持つ独特の世界観があるので、まずはそれに慣れるために、過去、自分が開発したモノ、もしくは作りたいモノをFileMakerで作ってみること。そうすると、作れるモノ、作れないモノがわかると思います」(岩佐氏)
そしてもう1つ、岩佐氏がお勧めするのが、Claris社が提供している初心者向けのトレーニングコースを受けること。一見、コストパフォーマンスが悪そうに見えるが、遠回りに見えて一番それが早いと岩佐氏は言う。もちろん、これまでの開発で培ったデータモデリング能力やモジュール化の考え方などは、FileMakerを使った開発でも十分、生かすことができる。
これからもFileMakerを主体とした事業を展開していくという岩佐氏。
「内製化支援をして、さまざまな企業に私のDNAを持った人たちが増えていくのが嬉しいです。FileMakerはここ5~6年で一気に実現できる新機能が増えました。これから先も開発者にとって嬉しい機能がどんどん追加されていくはずです。私の分身をよりたくさん生み出すためにも、FileMakerのさらなる進化に期待しています」(岩佐氏)
FileMakerの学習コンテンツと開発者向けサブスクリプション
- Claris FileMakerの公式テキスト「FileMaker Master Book」
初級、中級、上級のレベル別テキストで体系的にFileMakerの学習ができます。PDF版は無償で提供されています。
- YouTube チャンネル「FileMakerの自習室」
FileMaker学習用動画コンテンツを集めた、Claris公式YouTubeのサブチャンネルです。FileMakerの公式テキスト『FileMaker Master Book』初級編および中級編を丁寧に解説する動画「FileMaker オンライン学習 初級編」「FileMaker オンライン学習 中級編」は、ご自身のペースで学習を進めるのにぴったりです。
- 開発者向けのサブスクリプション「FDS(FileMaker Developer Subscription)」
テスト目的で使える FileMaker デベロッパ サブスクリプション ライセンスや、iOS App SDK(ソフトウェア開発キット)など、開発者向けのさまざまな特典がついた年間9,900円のサブスクリプションです。