ERMasterの基本手順
前節で作成したFirstERProjectに対して、ERMasterを使って、ER図を作成していきます。なお、本記事はあくまでERMasterの紹介を目的としたものなので、データベースの設計手法などの解説は割愛するので、ご了承ください。
作成するテーブル
これからERMasterを使って作成するテーブルを概観しておきましょう。ここでは、ある企業の部門情報を表すdepartmentsテーブルと、従業員情報を表すemployeesテーブルを作成することにします。話を簡単にするために、シンプルなカラム構成とし、departmentsテーブルは、表1のようにします。
カラム名 | 和名 | データ型 |
not null
|
その他 |
---|---|---|---|---|
id | 部門ID | INT | ○ | 主キー AUTO_INCREMENT |
dp_name | 部門名 | TEXT | ○ | - |
dp_location | 部門所在地 | TEXT | ○ | - |
また、employeesテーブルは、表2のようにします。
カラム名 | 和名 | データ型 |
not null
|
その他 |
---|---|---|---|---|
id | 従業員ID | INT | ○ | 主キー AUTO_INCREMENT |
em_name | 従業員名 | TEXT | ○ | - |
em_mail | 従業員メールアドレス | TEXT | ○ | - |
department_id | 所属部門ID | INT | ○ |
外部キー(departmentsのid)
|
ERMasterファイルの作成
ERMasterでデータベース設計を行うには、まず、ERMaster用のファイルを作成する必要があります。前節で作成したFirstERProjectプロジェクトフォルダを右クリックして
[新規] > [その他]
を選択してください。図5のウィザード選択画面が表示されます。
[ERMaster]フォルダを展開し、中の[ERMaster]を選択し、[次へ]をクリックしてください。すると、図6の新規ER図画面が表示されます。
この画面では、作成するER図のファイル名を入力します。ここでは、「czer」として[次へ]をクリックしてください。すると、図7のデータベースの選択画面が表示されます。
ERMasterでは、設計する対象のデータベースの種類をあらかじめ選択することになっています。もちろん、これは後から変更できますが、この段階で適切なものを選択しておく必要があります。この選択内容によって、ER図作成時のデータ型の選択肢が変わってきます。
ここでは、図7のように、オープンソースで非常によく利用されているMySQLを選択して解説していくことにしますが、もちろん、他のデータベースを選択してもかまいません。
図7のように、「MySQL」を選択して、[完了]をクリックすると、図8の画面となり、ERMasterのファイルczer.ermが作成され、そのファイルが編集できるようになっています。
データベース非依存設計の場合
概念データモデリングや論理データモデリングのように、データベース製品に依存しない状態でER図を作成することもあります。その場合は、図7のデータベース選択画面で、StandardSQLを選択することで、汎用的なER図、すなわち、データベースに非依存のER図を作成できます。
エディタ領域の画面構成
表示された画面のエディタ領域にある図9の部分が、パレットです。
ERMasterの基本作業は、パレットからテーブルや関連、ビューなどを選択して、エディタ領域の方眼キャンパスをクリックしてオブジェクトを作成していきます。作成されたオブジェクトは、画面左下の図10のアウトラインビューに表示されていきます。
テーブルの作成
早速、departmentsテーブルを作成しましょう。パレットから[テーブル]を選択して、キャンパスをクリックしてください。図11のようなテーブルオブジェクトが作成されます。
作成されたテーブルオブジェクトをダブルクリックすると、図12の画面が表示されてテーブル情報が編集できるようになります。
基本的には、この画面に必要情報を入力し、[OK]をクリックすることで、テーブル情報が反映されます。まず、以下のようにテーブル名を入力しておきましょう(図13)。
- 物理名:departments
- 論理名:部門情報
ここで入力した物理名が実際のテーブル名です。テーブルを作成する際のCREATE文にもこの名称が採用されます。一方、論理名は、日本語環境では、そのテーブルを表す和名を記載します。
入力を終えたら、続けてカラム情報を入力してもよいのですが、いったん[OK]をクリックして、入力内容を反映させておきましょう。[OK]をクリックしない限り、この画面での入力内容が反映されないからです。すると、キャンパス上のテーブルが図14のように変化し、確かにテーブル名が反映されていることがわかります。
ファイルはこまめに保存
図14のczer.ermタブには*が付与されています。.javaファイルでも同様ですが、Eclipseのエディタ領域のタブに*が付与されているファイルは、未保存の状態です。テーブル情報編集画面の[OK]のクリックで、その内容は確かにファイルに反映されますが、そのファイルは未保存のままです。こまめに保存するようにしましょう。
論理名の表示
図14のキャンパスには、テーブルの論理名が表示されていません。論理名を表示させるには、キャンパスを右クリックして表示されるメニューから、
[表示] > [ビューモード] > [論理/物理]
を選択します(図15)。
すると、キャンパスの表示が図16のように、論理名も表示されるようになります。
カラム情報の入力
続けて、カラム情報を入力していきましょう。もう一度、キャンパス上のdepartmentsテーブルをダブルクリックし、テーブル情報編集画面を表示させます。表示された画面の[追加]ボタンをクリックしてください。図17の列情報画面が表示されます。
まず、idカラムの情報を入力しましょう。入力内容は以下のようになります(図18)。
- 物理名: id
- 論理名: 部門ID
- 型: intを選択
- 主キー: チェックを入れる
- AUTO_INCREMENT: チェックを入れる
入力を終えて[OK]をクリックすると、テーブル情報画面は図19のようになっています。
このように、カラム情報の追加は、基本的には、物理名と論理名を入力し、用意されたデータ型ドロップダウンリストから選択すればよいだけです。主キーやAUTO_INCREMENTに関しても、チェックボックスが用意されているので、それを選択するだけです。
続けて、dp_nameカラムの入力画面は、図20のようになります。NOT NULL制約もチェックボックスにチェックを入れるだけです。
さらに、dp_locationカラムの追加を終えたテーブル情報画面は、図21のようになります。
この状態で、テーブル情報画面の[OK]をクリックすると、キャンパスは図22のようになっています。