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20年経ってもデファクトスタンダードIDEのEclipse入門

Eclipseでデータベース設計をしてみよう〜ERMasterプラグイン

20年経ってもデファクトスタンダードIDEのEclipse入門 第9回

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ERMasterの基本手順

 前節で作成したFirstERProjectに対して、ERMasterを使って、ER図を作成していきます。なお、本記事はあくまでERMasterの紹介を目的としたものなので、データベースの設計手法などの解説は割愛するので、ご了承ください。

作成するテーブル

 これからERMasterを使って作成するテーブルを概観しておきましょう。ここでは、ある企業の部門情報を表すdepartmentsテーブルと、従業員情報を表すemployeesテーブルを作成することにします。話を簡単にするために、シンプルなカラム構成とし、departmentsテーブルは、表1のようにします。

表1: departmentsテーブルの構造
カラム名 和名 データ型
not null
その他
id 部門ID INT 主キー  AUTO_INCREMENT
dp_name 部門名 TEXT -
dp_location 部門所在地 TEXT -

 また、employeesテーブルは、表2のようにします。

表2: employeesテーブルの構造
カラム名 和名 データ型
not null
その他
id 従業員ID INT 主キー  AUTO_INCREMENT
em_name 従業員名 TEXT -
em_mail 従業員メールアドレス TEXT -
department_id 所属部門ID INT
外部キー(departmentsのid)

ERMasterファイルの作成

 ERMasterでデータベース設計を行うには、まず、ERMaster用のファイルを作成する必要があります。前節で作成したFirstERProjectプロジェクトフォルダを右クリックして
[新規] > [その他]
を選択してください。図5のウィザード選択画面が表示されます。

図5: 表示されたウィザード選択画面
図5: 表示されたウィザード選択画面

 [ERMaster]フォルダを展開し、中の[ERMaster]を選択し、[次へ]をクリックしてください。すると、図6の新規ER図画面が表示されます。

図6: 新規ER図画面
図6: 新規ER図画面

 この画面では、作成するER図のファイル名を入力します。ここでは、「czer」として[次へ]をクリックしてください。すると、図7のデータベースの選択画面が表示されます。

図7: データベース選択画面
図7: データベース選択画面

 ERMasterでは、設計する対象のデータベースの種類をあらかじめ選択することになっています。もちろん、これは後から変更できますが、この段階で適切なものを選択しておく必要があります。この選択内容によって、ER図作成時のデータ型の選択肢が変わってきます。

 ここでは、図7のように、オープンソースで非常によく利用されているMySQLを選択して解説していくことにしますが、もちろん、他のデータベースを選択してもかまいません。

 図7のように、「MySQL」を選択して、[完了]をクリックすると、図8の画面となり、ERMasterのファイルczer.ermが作成され、そのファイルが編集できるようになっています。

図8: 作成されたczer.ermファイル
図8: 作成されたczer.ermファイル

データベース非依存設計の場合

 概念データモデリングや論理データモデリングのように、データベース製品に依存しない状態でER図を作成することもあります。その場合は、図7のデータベース選択画面で、StandardSQLを選択することで、汎用的なER図、すなわち、データベースに非依存のER図を作成できます。

エディタ領域の画面構成

 表示された画面のエディタ領域にある図9の部分が、パレットです。

図9: ERMasterのパレット
図9: ERMasterのパレット

 ERMasterの基本作業は、パレットからテーブルや関連、ビューなどを選択して、エディタ領域の方眼キャンパスをクリックしてオブジェクトを作成していきます。作成されたオブジェクトは、画面左下の図10のアウトラインビューに表示されていきます。

図10: ERMasterのアウトラインビュー
図10: ERMasterのアウトラインビュー

テーブルの作成

 早速、departmentsテーブルを作成しましょう。パレットから[テーブル]を選択して、キャンパスをクリックしてください。図11のようなテーブルオブジェクトが作成されます。

図11: 作成されたテーブルオブジェクト
図11: 作成されたテーブルオブジェクト

 作成されたテーブルオブジェクトをダブルクリックすると、図12の画面が表示されてテーブル情報が編集できるようになります。

図12: テーブル情報編集画面
図12: テーブル情報編集画面

 基本的には、この画面に必要情報を入力し、[OK]をクリックすることで、テーブル情報が反映されます。まず、以下のようにテーブル名を入力しておきましょう(図13)。

  • 物理名:departments
  • 論理名:部門情報
図13: テーブル名を入力したテーブル情報編集画面
図13: テーブル名を入力したテーブル情報編集画面

 ここで入力した物理名が実際のテーブル名です。テーブルを作成する際のCREATE文にもこの名称が採用されます。一方、論理名は、日本語環境では、そのテーブルを表す和名を記載します。

 入力を終えたら、続けてカラム情報を入力してもよいのですが、いったん[OK]をクリックして、入力内容を反映させておきましょう。[OK]をクリックしない限り、この画面での入力内容が反映されないからです。すると、キャンパス上のテーブルが図14のように変化し、確かにテーブル名が反映されていることがわかります。

図14: テーブル名が反映されたキャンパス
図14: テーブル名が反映されたキャンパス

ファイルはこまめに保存

 図14のczer.ermタブには*が付与されています。.javaファイルでも同様ですが、Eclipseのエディタ領域のタブに*が付与されているファイルは、未保存の状態です。テーブル情報編集画面の[OK]のクリックで、その内容は確かにファイルに反映されますが、そのファイルは未保存のままです。こまめに保存するようにしましょう。

論理名の表示

 図14のキャンパスには、テーブルの論理名が表示されていません。論理名を表示させるには、キャンパスを右クリックして表示されるメニューから、
[表示] > [ビューモード] > [論理/物理]
を選択します(図15)。

図15: ビューモードの変更
図15: ビューモードの変更

 すると、キャンパスの表示が図16のように、論理名も表示されるようになります。

図16: 論理名も表示されたキャンパス
図16: 論理名も表示されたキャンパス

カラム情報の入力

 続けて、カラム情報を入力していきましょう。もう一度、キャンパス上のdepartmentsテーブルをダブルクリックし、テーブル情報編集画面を表示させます。表示された画面の[追加]ボタンをクリックしてください。図17の列情報画面が表示されます。

図17: 列情報画面
図17: 列情報画面

 まず、idカラムの情報を入力しましょう。入力内容は以下のようになります(図18)。

  • 物理名: id
  • 論理名: 部門ID
  • 型: intを選択
  • 主キー: チェックを入れる
  • AUTO_INCREMENT: チェックを入れる
図18: 列情報画面にidカラムの情報を入力
図18: 列情報画面にidカラムの情報を入力

 入力を終えて[OK]をクリックすると、テーブル情報画面は図19のようになっています。

図19: idカラムが追加されたテーブル情報画面
図19: idカラムが追加されたテーブル情報画面

 このように、カラム情報の追加は、基本的には、物理名と論理名を入力し、用意されたデータ型ドロップダウンリストから選択すればよいだけです。主キーやAUTO_INCREMENTに関しても、チェックボックスが用意されているので、それを選択するだけです。

 続けて、dp_nameカラムの入力画面は、図20のようになります。NOT NULL制約もチェックボックスにチェックを入れるだけです。

図20: 列情報画面にdp_nameカラムの情報を入力
図20: 列情報画面にdp_nameカラムの情報を入力

 さらに、dp_locationカラムの追加を終えたテーブル情報画面は、図21のようになります。

図21: 全てのカラムが追加されたテーブル情報画面
図21: 全てのカラムが追加されたテーブル情報画面

 この状態で、テーブル情報画面の[OK]をクリックすると、キャンパスは図22のようになっています。

図22: 全てのカラムが追加されたキャンパス上のdepartmentsテーブル
図22: 全てのカラムが追加されたキャンパス上のdepartmentsテーブル

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook<個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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