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20年経ってもデファクトスタンダードIDEのEclipse入門

Eclipseでデータベース設計をしてみよう〜ERMasterプラグイン

20年経ってもデファクトスタンダードIDEのEclipse入門 第9回

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関連の追加

 前節で、テーブルを追加方法の基本解説は終了しました。ここでは、もうひとつ表2のemployeesテーブルを追加して、departmentsテーブルとの関連を追加する方法を紹介します。

関連を追加する2種の方法

 今回は、図23は、前節で紹介した同様の手順でemployeesテーブルを追加したキャンパスです。

図23: employeesテーブルが追加されたキャンパス
図23: employeesテーブルが追加されたキャンパス

 このemployeesテーブルのdepartment_idカラムは、外部キーとしてdepartmentsテーブルのidカラムを参照しています。その設定を行い、この2テーブル間に関連を追加する必要があります。

 ERMasterで関連を追加する方法は2種類あり、ひとつが既存の列を使った関連の追加で、もうひとつが単なる関連の追加です。違いは、外部キーとなるカラムが、対象テーブルにあらかじめ存在するかどうかの違いです。図23のように、employeesテーブルにはすでに外部キーカラムであるdepartment_idを登録しています。よって、前者を利用します。

既存の列を使った関連の追加

 早速、関連を追加しましょう。パレットから[既存の列を使った関連]をクリックします。すると、マウスカーソルが図24のように変化します。

図24: 変化したマウスカーソル
図24: 変化したマウスカーソル

 このマウスカーソルの状態で、関連を追加する両テーブルをクリックします。ただし、その順番が大切で、参照先テーブル→参照元テーブルの順番でクリックします。この場合だと、departmentsテーブル→employeesテーブルの順番でそれぞれをクリックします。すると、図25の関連情報画面が表示されます。

図25: 関連情報画面
図25: 関連情報画面

 参照先カラムは主キーである[部門ID]が自動的に表示されています。このカラムを参照する外部キーカラムをドロップダウンから選択します。図26のように、あらかじめ作成しておいた[所属部門ID]を選択し、[OK]をクリックします。

図26: ドロップダウンから外部キーカラムを選択
図26: ドロップダウンから外部キーカラムを選択

 すると、キャンパスは、図27のように変化し、employeesテーブルとdepartmentsテーブルに関連が追加され、department_idには、外部キーを表す色とアイコンが付与されています。

図27: 関連が追加されたキャンパス
図27: 関連が追加されたキャンパス

 なお、この関連線をダブルクリックすると、図28の関連情報画面が表示されます。この画面から、参照操作や多重度の設定などが行えます。

図28: 関連情報画面
図28: 関連情報画面

単なる関連の追加

 もうひとつの関連の追加は、外部キーカラムがあらかじめない状態で行います。図29は、employeesテーブルから外部キーカラムのdepartment_idを削除した状態です。この場合、パレットで選択するのは、[1:N関連]です。図29のように、マウスカーソルが変化します。

図29: 外部キーカラムがない場合の関連の追加
図29: 外部キーカラムがない場合の関連の追加

 テーブルをクリックする順番は、前項と同じなので、departmentsテーブル→employeesテーブルの順番でそれぞれをクリックします。すると、図30のように、外部キーカラムが自動的に追加されます。

図30: 自動追加された関連と外部キーカラム
図30: 自動追加された関連と外部キーカラム

 ただし、カラム名は参照先主キーのカラム名と同一になってしまいます。図30の場合は、employeesテーブルの主キーカラムidと同一名称になってしまうので、これではまともにテーブル作成ができません。この場合は、該当テーブルをダブルクリックして表示されたテーブル情報画面から、該当カラムをダブルクリックして表示された列情報画面を使って、カラム情報を変更する必要があります。

N:N関連の追加

 本節の最後に、N:N関連追加を紹介します。パレットから[N:N関連]を選択して、両テーブルをクリックすると、図31のように両テーブルの主キーを複合主キーかつ外部キーとしたテーブル、つまり、交差テーブル(中間テーブル)が自動生成されます。もちろん、ここからテーブル名、必要に応じてカラム名を変更する必要がありますが、このようなテーブルが必要な時に、この機能は便利です。

図31: 自動追加された交差テーブル
図31: 自動追加された交差テーブル

その他の便利な機能

 最後に、ERMasterのその他の機能を2個ほど紹介します。

テーブルやビュー以外のオブジェクトの追加

 ERMasterのパレットには、テーブルやビュー、関連のアイコンが表示されているので、これらのオブジェクトを追加する場合は、パレットとキャンパスを利用すると可能です。一方、シーケンスやトリガーなど、テーブルとビュー以外のオブジェクトを追加する場合は、アウトラインビューを利用します。

 例えば、シーケンスを追加する場合は、アウトラインビューからシーケンスを右クリックして表示されるメニューから[シーケンス追加]を選択し、表示された画面に必要情報を入力すると、シーケンスオブジェクトが追加されます。

図32: シーケンスの追加メニュー
図32: シーケンスの追加メニュー

 なお、ここで作成しているczer.ermは、MySQLを対象データベースとしているので、シーケンスの作成は行えないようになっています。対象データベースを、PostgreSQLなど、シーケンスをサポートしたデータベースにすると、図32のメニューが表示されます。

強力なエクスポート機能

 ERMasterは、エクスポート機能も充実しています。これらは、キャンパスを右クリックして表示されるメニューから、[エクスポート]を選択して表示されるメニューから選択できます(図33)。

図33: エクスポートメニュー
図33: エクスポートメニュー

 図34は、試しに[DDL]を選択して表示されるDDL出力画面です。

図34: DDL出力画面
図34: DDL出力画面

 この画面から必要なチェックボックスにチェックを入れ、[OK]をクリックすると、[出力ファイル]欄のファイル名でDDLファイルが作成されます。このDDLファイル内のSQLを該当データベースにインポートするだけで、必要テーブルから関連、ビュー、シーケンスなど、全てが自動作成されます。

 同様に、図33のメニューから[Excel]を選択すると、テーブル定義書エクセルファイルが生成されます。これらの強力なエクスポート機能があるため、データベースの仕様変更がある場合は、DDLファイルやエクセル定義書を変更するのではなく、あくまでERMaster上で変更を行い、エクスポートし直す、というワークフローが確立できます。

まとめ

 今回は、Eclipseでデータベース設計を行うERMasterを紹介しました。ここまで紹介してきたように、さまざまな便利機能がERMasterには含まれています。本稿では紹介しきれませんが、そのさわりを感じていただけたのではないかと思います。Eclipseを紹介する本連載も、次回でいよいよ最終回です。その次回は、AWSと連携するプラグインである、AWS Toolkit for Eclipseを紹介します。

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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