魅力的なサービスとしての核がなければ、プラットフォームは成長しない
プラットフォームに対するこだわりを持つ森本氏だが、そのためには誰もが使いたくなる、核となるクラウド録画サービスに磨きをかけることに力を注いでいる。たとえいろいろなことができるプラットフォームを用意したとしても、そこで価値が生み出されないことには誰も利用しないと考えているからだ。
その甲斐もあって、セーフィーのクラウド録画サービスは成功し、プラットフォームとしても成長しているが、サービスの要因は過去の失敗にあるとし森本氏は語った。
「もともとはBtoCの録画サービスとして開発していたので、一般消費者向けを想定して徹底的に使いやすく、安価に提供できるようにしました。その後、BtoB領域に転換するのですが、その際にはエンタープライズ向けの品質にこだわりました。そして結果的に、BtoB品質のものをかんたんに安く使えるプロダクトにすることができたのです」(森本氏)
当初BtoC向けの開発での苦労は無駄にならず、さまざまな業界の現場で広く使われるようになる下地となったのだ。しかし、クラウド録画サービスのシェアトップという成果は得られたが、まだ成長中で、これから乗り越えなければならない課題は山積みだ。
新機能の開発ニーズも大きいため、エンジニアの採用を強化して開発をスピードアップする必要がある。エンタープライズ品質で提供している以上、アップデート時にサービスを止めるわけにもいかない。プライバシー情報を扱うため、高度なセキュリティも必要とされる。通信状況が悪くても映像が途切れることのないように保存したり、品質を保ちながらも費用を抑えたプライシングをしたりするなど、弛まぬ努力が続けられている。
多様な技術・キャリアパスを経験できるエンジニア組織へ
このように、さまざまな領域の技術において強いこだわりを持ったプロダクトづくりをしているセーフィーは、エンジニアにとっては多様なスキルを得られる環境と言える。
現在、セーフィーのエンジニア組織は、職能型で分かれており、担当領域は決まっているが、今後はエンジニア個人の価値を高められるよう、複数の領域にチャレンジできる組織・制度づくりを目指している。エンジニアのスキルアップのためにも、各分野のオンボーディングコンテンツの作成も開始した。森本氏は「例えば、バックエンドとデバイスを一緒に開発する人や、フルスタックエンジニアを目指す人が出てくればいいなと思っています」と語った。
エンジニアのスキルや実績に応じて評価する仕組みも重要だ。フルスタックを目指す人なら、フルスタックエンジニアが評価し、1つの領域を極めたいなら、その領域の専門家が評価する。開発だけでなく、プロダクトを管理するような立場なら、開発全体を取り仕切る人が評価する。森本氏は「多面的な役割にも役割を定義し、正当に評価をする仕組みを作りたい」と、評価の重要性を説いた。
エンジニアとしてセーフィーで働く醍醐味を森本氏に聞くと「先程紹介させていただいた通り技術領域が広く、かつ大容量(ペタバイトレベル)のデータを扱っており、それらのデータを扱うためにシステムの規模も大きくなっています。これらを高品質、かつ高セキュアに管理しつつ新規開発をやっていかなければならないところがチャレンジングですが、そこが面白いところでもあります。また、自分たちのプロダクト、サービスが、実際にお客様に使っていただいて、課題の解決に繋げられているという実感が得られるところもやり甲斐に繋がっています」と答えた。
上場を果たしてさらなる成長フェーズにあるセーフィー。従来のメイン顧客である小売りやサービス、建設だけでなく、今後はオフィスビルやインフラ、製造業、物流や個人、そして海外展開と、さまざまな領域への展開を計画している。
エンジニアにとっては魅力的なチャレンジができる環境あり、多面的なキャリアパスのための教育や評価も整備されつつある。スキルを磨いて社内外でステップアップしていくのもいいし、プラットフォームを活用して、社外パートナーとして起業する道も考えられるという。森本氏は最後に次ようにコメントした。
「プロダクトを作って終わりではなく、社会課題に応じてさらにプラットフォームを成長させていきたいという熱意を持たれている方がどんどんセーフィーに参画してきてくれたらと思っています。セーフィーのプロダクトは、技術領域が非常に広く、無停止や高いセキュリティへのこだわりなど、技術的な難易度も高いものが多いです。そのなかでのエンジニアとしての成長の機会・可能性は無限にあると感じています。人は、人生の中で多くの時間を仕事に費やしています。だからこそ、セーフィーで頑張ってくれているメンバーがより成長を実感し、楽しく仕事ができるような環境をこれからも作り続けていきたいです」