「今年もTreasureの季節ですね」──若手エンジニアに受け継がれるインターンの意識
──「Treasure」は毎年どういった経緯で企画しているのでしょうか? また今年も開催に至った経緯を教えてください。
瀬尾:先ほどもお伝えしたように、「Treasure」は2006年から実施しており、当時のVOVAGE GROUPから続いているCARTA HOLDINGSを代表する伝統的なインターンです。
毎年開催するごとに、「参加してよかった」「成長できた」という学生の声が増えています。学生の中では注目度が高い人気のあるインターンで、開催を望む学生の声に答え、これまでずっと開催しています。加えて、過去「Treasure」に参加した学生のネットワークがあるので、その繋がりや、後輩に「Treasure」を紹介するといった形で次世代に認知され、どんどん繋がりが広がっているインターンになっています。
また、社内でもとても思い入れを持っている社員が多いです。「Treasure」出身で入社した人が、「『Treasure』に関わりたい」と手を挙げてくれるなど、中身の部分でも、エンジニアと一緒に作っていくところにこだわっています。今年の「Treasure」で言うと、50人以上が当日の運営に関わっていますが、3分の1ぐらいは「Treasure」出身のエンジニアです。
──そこまで長く続けてこられた秘訣は何だと思いますか。
鈴木:これは私自身が実際に「Treasure」を経験しているのもありますが、2006年〜2007年ごろはシンプルに「やろうよ」という感じだったかなと。ただ、もう5年ぐらい続いていくと、毎年夏になれば社内でも「今年もTreasureの季節ですね」と雰囲気が変わって、軌道に乗っていきました。
最初にこのインターンの企画を立ち上げた人や、実際に参加してくれた人たちが積極的に関わってくれており、また、当時からチームにサポーターがつく形式をとっていたので、社内で関わる人数が必然的に多くなります。そうなると社内的にはもうお祭りのような、一大イベントです。
現在はオンライン形式になっていますが、コロナ前はオフィスで仕事していると夏休み期間中の学生がたくさん来て、一生懸命勉強して開発をしていました。悪戦苦闘している学生を見ると、「大丈夫? ちょっと手伝いに行こうか?」という雰囲気になります。社員のエンジニアメンバーも何かしら手助けしたい、関わりたいという思いがあるため、それが今に続いている秘訣の1つだと思います。
──「Treasure」はどのような理念や目標を掲げて運営していますか?
鈴木:インターンの前段階として、まずCARTA HOLDINGSのエンジニア組織としての方向性を指し示す「Tech Vision」があります。この中には、今後こういう組織にしていきたいというビジョンや、私たちが大事にしている価値観を記しています。その「Tech Vision」の価値観の一つに、「共に信頼し、共に作る」があります。特に状況や環境が変化しやすいWeb業界の中で、チームで信頼し合いながら作ることがものすごく大事になってくるので、そういったスタンスをまずは参加してくださる学生の皆さんにも知ってほしい想いがあります。
それが「Treasure」のチーム開発の中にもエッセンスとして入っています。学生の皆さんにはぜひ「Treasure」を通して技術面だけでなくスタンス面を吸収し、成長していってほしいなと思います。やはり、事業を作れるエンジニアや、事業を育てていけるエンジニアが増えていくほど、社会に対してもどんどん価値を生み出せると考えています。それが何より社会を良くすることに繋がると思っているので、次世代のエンジニアを育てることを「Treasure」の目標にしています。
私たちもいろんな人たちから情報や技術を受け取って、それを咀嚼して成長してきたので、教えてくれた人たちに感謝して還元したい気持ちがあります。
また、インターンの中では「横断的に関わる」ことを意識しています。前半の講義でWeb技術の全領域について学ぶことで、後半のチーム開発に入ったときにある程度ベースが整っているので開発にとりかかりやすくなります。
瀬尾:プロダクトを作るために、技術領域問わずいろいろ触っていく姿勢が大切ですね。バックグラウンドはさまざまですが、「Treasure」に参加する学生に共通している部分は、「Webに興味があり、手を動かしてものを作るのが好き」なところです。
──インターンを通して学生はどのような成長が得られると思いますか?
瀬尾:「Treasure」では、スキル成長に重きを置いているので、Webアプリケーションに対して体系的な知識を得られるほか、その知識をもとに実際に手を動かしてものを作っていく経験が積めます。その部分に関して、学生からの反響は良いと感じています。今の学生はコロナの影響もあり、チームで取り組む経験がかなり薄くなっている中、「Treasure」ではチームで進めていくことを大事にしています。初対面の人たちと仲良くチームで物を作り上げる経験ができることに関しても、反響をいただくケースが多いです。
集団で学習するからこそ、他の人の意見に触れたり、ディスカッションしながら考えたりすることに難しさや楽しさがあるので、そうしたところを経験できるのは貴重ではないかと思います。
鈴木:実際にエンジニアとして現場で仕事をしていく上でも、ディスカッションは必要です。開発チームの環境変化は激しいです。市場環境が変わったり、競合がもっと早く動いていったりする中で、自分たちが競争的であり、そのプロダクトをアップデートしていかなければならないです。外の情報を 取り込んで、自分たちがどう判断して、何を作るのかを考えなければいけません。なので、やはりディスカッションや情報を取り込む機能性が、チームにとってとても大事になってきます。インターンシップに限らず、実際の現場の中でも私たちは仲間と一緒に議論して作ることを大事にしています。