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Developers Summit 2023 セッションレポート(AD)

IaCやDevOpsツールだけでは足りない? デリバリーのパフォーマンスを上げる運用設計とは

【9-D-8】IaC活用やDevOps実践からみる、抜けてはまずいプロジェクト推進に必要な「運用設計」の考え方

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DevとOpsが共通のゴールを目指すために、運用にも設計が必要

 では、運用パフォーマンスが低下してしまう原因は一体どこにあるのか。一般的には「開発と運用の連携が取れていない」「目標値を高く設定しすぎている」「作業ミスが多い」といった点が原因として挙げられることが多い。DevOpsはまさにこれらの課題を解決するために考案されたものだが、実際には多くの企業でその実践がうまく行っておらず、思うようなパフォーマンスを発揮できていないと三好氏は言う。

 「DevOps自体はあくまでもコンセプトや原則を示しているものに過ぎないので、具体的な実践方法が曖昧なまま進めているケースが多いと考えられます。また開発組織と運用組織をまたいだ取り組みなので、その実現には組織の壁を越えて強力なリーダーシップを発揮できるリーダー人材が不可欠ですが、そうした役割がやはり曖昧なまま進めていった結果思うような成果が上がらないケースも散見されます」

 そしてもう1つ同氏が重要な問題点として挙げるのが、「運用観点からのアプローチがなかなか議論の俎上に載らない」という点だ。多くのプロジェクト関係者が「そんなに早い段階から運用について議論しても、実際の効果にはつながらない」と、運用を軽視しがちな傾向にあるという。しかし実際には、運用の観点をプロジェクトの初期段階から取り入れることで、システム開発プロジェクトの費用対効果が飛躍的に高まることが分かっている。

 逆に、プロジェクトの初期段階できちんと運用について検討していなかった場合、システムを運用していくに従って運用コストもどんどん割高になることも判明している。しかも厄介なのは、一度運用を始めた後にシステムの運用方式を根本から見直すのは極めて難しく、「後戻りができない」という点だ。事実、システムコストの大半はリリース後の運用コストが占めることは広く知られており、結果としてシステムの運用パフォーマンスが企業全体の成長に大きく影響することになる。

 こうした課題を解決する上で極めて重要な役割を演じるのが「運用設計」だ。運用設計とは一言で言い表すと「地図のようなものだ」と三好氏は説明する。

 「プロジェクト開始時に開発者と運用担当者は、それぞれ自分たちが目指すプロジェクトのゴールに向かって進み始めますが、双方で目指すゴールが違っているため後々になって認識の齟齬が生じてトラブルの種になります。しかもそうした状態下でもそれぞれが最終的にはゴールにたどり着くため、プロジェクト終了後に互いのゴールが食い違っていたことを振り返って反省する機会も生まれにくいという構造的な問題もはらんでいます」

地図がないとちゃんとした目的地に行けない
地図がないとちゃんとした目的地に行けない

 運用設計はこうした問題が生じることをあらかじめ防ぐため、開発と運用がともに共通のゴールを目指せるようにプロジェクト全体の「共通ゴール」「開発方法」「運用方法」をあらかじめきちんと定義しておき、双方で共有するために設けるものだ。このプロジェクト全体の「地図」「ガイド」としての運用設計がプロジェクトの初期段階できちんと定義されているか否かによって、その後のプロジェクトの成否やシステムカットオーバー後の効果が大きく左右される。

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この記事の著者

吉村 哲樹(ヨシムラ テツキ)

早稲田大学政治経済学部卒業後、メーカー系システムインテグレーターにてソフトウェア開発に従事。その後、外資系ソフトウェアベンダーでコンサルタント、IT系Webメディアで編集者を務めた後、現在はフリーライターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

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