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Developers Summit 2024 セッションレポート

「とにかく人と話し続けよう」 市場との対話がもたらすプロダクト開発の新たなアプローチ

【15-C-7】僕らは何を作ったらいいのか

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プロダクト開発における市場との対話の重要性

 川口氏のチームが実際に実施したインタビュー数は、最終的に11件。マインドマップにある黄色の部分を基に、社内向けのレポートとしてまとめた。インタビューを通じて「解像度が上がった」と手応えを感じた川口氏だが、社内の反応は意外にもシビアで、「すぐに受け入れられることはなかった」と肩を落とす。

 とはいえ、強い反論も出なかったことを川口氏は前向きに評価する。「コツコツと回数を積み上げたインタビューという作業に対して、思い込みや感情だけで反論できる人は少ない。インタビューを通じて寄せられたポジティブな反応が『アリバイ』となり、『この方向性でプロダクト開発を続けてもいいんだ』という機運が醸成された」というのだ。

 こうしてプロダクト開発は、「何を作るべきか」という決定フェーズに移ることになった。情報が限られる中での意思決定は困難を極めるが、「たとえ判断ミスをしても、たかだか1カ月が無駄になるだけだ」と割り切って考え、なるべく早く開発に進めることを優先した。

 次は、実際に作り始めるフェーズだ。VC(ベンチャーキャピタル)からの「作ってから売るのではなく、まず売れ。売れたらデザインして、その後ようやく作れ」というアドバイスに則り、「あたかも確固たるプロダクトが存在するかのように宣伝し、売り始めた」と川口氏。そのデータを基にテストや分析を重ね、少しずつ知見を蓄積していった。

 「この段階まで進むと、開発に納得していなかったセールス担当者も、だんだんとプロダクトを『自分のもの』と思うようになる。そうするとチームの気持ちが盛り上がってくる」

 こうして生まれたプロダクトは、現在ベータ版を一部ユーザーに提供し、フィードバックを集めている段階にあるという。

 最後に川口氏は、「プロダクト開発を始める際には市場との対話が重要」であることを改めて強調する。その上で会場に向けて、「具体的な問題が定かではない場合には、とにかく人と話し続けなきゃいけない。それにはちょっとエネルギーが要るが、自分のためにも周りの人のためにも、色々な人との対話を通じて考えていってほしい」と激励し、講演を締めくくった。

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この記事の著者

川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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水無瀬 あずさ(ミナセ アズサ)

 現役エンジニア兼フリーランスライター。PHPで社内開発を行う傍ら、オウンドメディアコンテンツを執筆しています。得意ジャンルはIT・転職・教育。個人ゲーム開発に興味があり、最近になってUnity(C#)の勉強を始めました。おでんのコンニャクが主役のゲームを作るのが目標です。

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