AI活用のカギを握る「プロンプト エンジニアリング」の精度を高める
AIの予測不可能を制御するために不可欠である「プロンプト エンジニアリング」とはどのようなものか。プロンプトエンジニアリングとは、「対話型のLLMに対して、精度の高いアウトプットを得るための技術」であり、いかに指示や命令を設計、最適化するかが重要となる。たとえば「猫を描いて」というよりも、細かく指定したほうが期待通りの結果が返ってくるのは誰もが体験していることだろう。
プロンプト エンジニアリングでは、精度を高めるためには、「1.指示を明確にする」「2.コンテキストを与える」「3.背景情報を与える」「4.サンプルとなるインプットデータを与える」という4つの要素を与えることが有効とされている。
そして、さらに精度を上げるテクニックとして、「過去の解答例をいくつか提示する」「思考回路を与える」といった「揮発的な学習=シングルターンでのやりとり」が有効だ。その中で特に注目されているのが「ReAct」であり、プロンプトから必要なタスクを動的に認識させて、検索や計算など外部APIを活用した情報を取得し、その情報を付加して回答を返す」というもの。
つまり、モデルを固定値として追加学習をさせずに、思考プロセスを共有して、外部の情報も組み合わせる。そうすることで負担をかけずに、クローズドな状態でも精度を上げられる。このようにさまざまなAPIや外部情報と連携し、業務フローの設計まで踏み込むことが、生成AIシステムのエンジニアのスキルとして重要になる。
そして、現在はオープンAIなどをユーザーが意図的に選択して使っているが、今後は表には出てこなくなり、業務システムなどの裏側で自動的に使われる可能性が高い。しかし、その裏側でこそ最適化が重要となり、作り手に高いスキルが求められるようになるのは必至と言える。
つまり、ユーザーは自然言語の対話を通じて無意識のうちにAIを使うようになるが、プロンプトエンジニアリングは、ソフトウェアとの連携やワークフローの構築などの重要度が増してくる。そして、AIエンジニアリングについては、業務に特化したAIのモニタリングやチューニングなどがさらに求められるようになるという。