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Developers Summit 2024 Summer レポート

売上か? 面白い技術か? エンジニア組織が直面するジレンマに、エンジニア経営者 漆原氏が切り込む

【24-B-9】売上を取るか?技術を取るか?~これからのエンジニア組織経営~

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 Developers Summit 2024 Summerのテーマは「事業貢献するエンジニアを応援するカンファレンス」だ。しかし実際に事業と向き合うと、さまざまな数字のジレンマに直面するエンジニア組織は多いのではないだろうか。事業への貢献とエンジニアとしての自己実現や成長は両立するのだろうか。上場企業を率いる経営者であり、自身もエンジニアであるウルシステムズの漆原茂氏が「エンジニア組織を経営する」という視点でこのテーマに切り込んだ。

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お金かモチベーションか? 事業と関わる上でのジレンマ

 事業貢献を目指す上で、エンジニア組織のリーダーは次のようなジレンマに遭遇したことはないだろうかと、漆原氏は問いかけた。

 顧客の要望を取るか、自分がやりたい仕事を取るか。

 自社の売り上げを取るか、面白い技術を取るか。

 自社の利益を優先するか、メンバーへの報酬還元を優先するか。

 これらはすなわち、資本の論理を優先するか、チーム作りやエンジニアとしての自己実現などのお金で買えない価値を優先するかという板挟みへの問いだ。実際、ビジネスの現場では売上増加、事業計画の達成、企業価値(株価)の上昇、獲得ユーザー数の増加といったさまざまな数字のプレッシャーが存在する。そしてそれは多くのエンジニアが苦手とするものだ。そんな数字のプレッシャーを和らげるべく苦心しているリーダーも多いのではないだろうか。そう、エンジニアのチームリーダーたちは皆、エンジニア組織を「経営」しているのだ。

 一方、リーダーであるあなたはこう思うかもしれない。

 「手段は問わないから10億円の売上を作って」と経営から言われてもピンとこない。

 「報酬を出すから、良い感じのエンジニア組織を作って」とだけ言われてもモチベーションが湧かない。

 それはなぜだろう。漆原氏は、問いかけを深めていく。

ウルシステムズ株式会社 代表取締役会長 漆原 茂氏
ウルシステムズ株式会社 代表取締役会長 漆原 茂氏

報酬はモチベーションを損なう劇薬?

 ここで漆原氏は、「報酬とモチベーション」についての心理学研究を、いくつか紹介した。

 スタンフォード大学のマーク・レッパー教授らは、パズルが大好きな子供たちの研究を行った。ご褒美を与えるチームと、特に何もしないチームに分け、結果を比較した。するとご褒美を与えていたチームは、報酬が出なくなるとパズルを解くのをやめてしまったのだ。一方、何もしなかったチームは、その後もパズルを解き続けた。元々パズルが大好きで「楽しい」「好き」という内発的動機を持っていた子供たちだ。そこに下手に報酬を与えるとモチベーションが低下してしまうのだ。この現象を報酬の「アンダーマイニング効果」という。

 一方、報酬には「エンハンシング効果」もある。内発的動機が湧かない行為に対し、報酬を出すことによってモチベーションを高めることを指す。実は機械的なルーチン作業に対して極めて有効だ。しかし報酬を繰り返すほど効果は薄れていく。やがて報酬が足りないと思うようになり、かえってモチベーションは低下してしまうのだ。

 仕事を支える内発的動機と報酬制度のような外発的動機は、慎重にバランスを取る必要があると、漆原氏は言う。もちろん仕事をする上で適切な報酬は欠かせない。しかし報酬を設計する経営側は「これだけ出してくれるのだから、どんな仕事でも喜んで働いてくれるだろう」と思いがちだ。実際には不十分な報酬制度は逆効果になる恐れもあるのだ。だからエンジニア組織経営を考える上では、お金よりも内発的動機を真っ先に重視する必要があるというのが、漆原氏の主張だ。

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お金に換えられない「主観的Well-being」の大切さ

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この記事の著者

Innerstudio 鍋島 理人(ナベシマ マサト)

 ITライター・イベントプロデューサー・ITコミュニティ運営支援。 Developers Summit (翔泳社)元スタッフ。現在はフリーランスで、複数のITコミュニティの運営支援やDevRel活動の支援、企業ITコンテンツの制作に携わっている。 Twitter:@nabemasat Facebook Web

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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https://codezine.jp/article/detail/20090 2024/11/28 11:00

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