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Windows Azure新機能チュートリアル

複数データセンター間でロードバランス機能を提供するTraffic Manager

Windows Azure新機能チュートリアル(8)

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Traffic Managerの動作確認

 ここからは配置したサンプルプログラムを元に、Traffic Managerの動作を確認していきます。Traffic Managerの管理ポータルを確認してみましょう。図14のように、「ポーリングの状態」カラムがすべて「オンライン」になっていれば正しく動作しています。ポーリングの状態とは、Traffic Managerが監視用エンドポイントにアクセスし、サービスが正常に動作しているか判定した結果です。

図14 オンライン状態の確認
図14 オンライン状態の確認

ラウンドロビン

 最初に作成したポリシーでは、ロードバランス方式としてラウンドロビンを選択しましたが、Traffic Manager向けのURLにアクセスしてみます。最初に東アジアが表示されます。引き続き、新規セッションから新しいIEを起動し、URLを入力してみてください。ラウンドロビンの動作どおり、順に異なるホステッドサービスが選択されることが確認できると思います。

図15 ラウンドロビン方式の結果
図15 ラウンドロビン方式の結果

  なお、ラウンドロビン方式では、ブラウザ自身や、ProxyサーバーがDNSキャッシュを持っている場合があるため、期待通りの動作をしない場合があります。そのような場合は、何度か繰り返しアクセスしてみてください。

 次にnslookupを繰り返し、どのようなDNS名が返却されるか確認してみます。ポリシーに設定したホステッドサービスのDNS名が順に返却されることが確認できるでしょう(図16)。なお、nslookupを繰り返す場合、DNSのキャッシュが効いているため、30秒程度おいてから確認してください。

図16 nslookupの結果
図16 nslookupの結果

パフォーマンス

 ロードバランス方式をパフォーマンスに変更して動作を確認してみましょう。リボンの[構成]ボタンをクリックするとポリシーの編集ダイアログが表示されるため、ロードバランス方式から[パフォーマンス]を選択し、[更新]ボタンをクリックします。

 しばらくしてから、Traffic ManagerのURLにアクセスを繰り返すと、東アジアのホステッドサービスにしか接続されなくなます。ただし、利用しているプロバイダーによっては、北中央アメリカのほうが近いと判定される場合もありますが、常に同じホステッドサービスに接続されることを確認してください。

図17 東アジアのデータセンターに接続
図17 東アジアのデータセンターに接続

 ここで、北中央アメリカのホステッドサービスに接続されることを確認するために、北中央アメリカに配置したサービスにリモートデスクトップ接続して、その中から動作確認してみます。北中央アメリカのサービスからTraffic Managerを経由すれば一番近い自分自身に接続されることが確認できます(図18)。

図18 北中央アメリカDCからの確認
図18 北中央アメリカDCからの確認

フェールオーバー

 最後にロードバランス方式をフェールオーバーに変更して動作を確認してみましょう。リボンの[構成]ボタンをクリックするとポリシーの編集ダイアログが表示されるため、ロードバランス方式から[フェールオーバー]を選択し、[更新]ボタンをクリックします。

 フェールオーバーの動作を確認するためには、片方のサービスを停止する必要があります。今回は東アジアのホステッドサービスを停止してもよいのですが、リモートデスクトップ接続で乗り込んでエンドポイントファイルをリネームしてみます。このようにすることで、Traffic Managerからは東アジアのホステッドサービスが停止しているように見えるからです。

 東アジアのホステッドサービスにリモードデスクトップ接続し、“E\siteroot\0\endpoint.htm”ファイルをリネームします。しばらくすると、東アジアのホステッドサービスがオフラインになるのが確認できます(図19)。

図19 オフライン状態
図19 オフライン状態

 オフラインになったのを確認したのちに、Traffic ManagerのURLへアクセスしてみます。北中央アメリカのサービスが表示されることが確認できると思います。

まとめ

 サンプルによって各ロードバランス方式の確認はできたでしょうか。これら、パフォーマンス、ラウンドロビン、フェールオーバーなど各種トラフィック制御を行ってくれるTraffic Managerですが、あくまでDNSをベースとした振り分けです。トラフィック制御をした場合に、異なるホステッドサービス間でどのようにデータを共有するか、またフェールオーバー時にどのようにデータを引き継ぐかなどは、アプリケーション側の問題となります。

 情報提供サイト等ステートレスなサイトであれば問題になりませんが、永続的なデータを扱うサービスでは、これらに注意が必要です。ただし設計次第では高可用性、耐障害性を高めることができる機能であるといえるでしょう。

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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