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「PyCon JP 2011」レポート

運営スタッフが振り返る「PyCon JP 2011」の模様と今後の展望

「PyCon JP 2011」運営レポート

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セッション全体

 プログラム担当の鈴木たかのりと遠藤です。ここではプログラム担当としてCall for Paperによるセッション選定や、それぞれのセッションの様子を紹介したいと思います。

Call for Paper

 PyCon JP 2011のセッションはCall for Paper(以下CFP)で公募しました。Lightning Talksを含めて全部で35本の応募がありました。ご応募いただいた皆さんありがとうございました。

 参加者の皆さんのご意見を選定に反映したいという思いから、CFP公募開始と同時に、応募されたCFPに投票するサイト(PyCon JP 2011 投票)を公開しました。

 今回の選定では、テーマが特定の分野に偏ったり、必要とされる習熟度が偏ったりしないようにし、初心者~中級者の方にも楽しんでいただけるように配慮しました。皆さん、気になるセッションに参加できたでしょうか。

PyCon Blog

 PyConを初めて日本で開催するあたり、世界へ向けてアピールする手段の一つとしてPyCon Blogで発信しました。

 その甲斐があったのか(?)、台湾から2人の方(Sinker LiHsin-Yi Chen)が日本へやってきて発表してくれました。今後もPyCon JPは日本で開催する国際イベントだよという意思表示を示していければ良いなと考えています。

Pythonチュートリアル

チュートリアル会場の様子
チュートリアル会場の様子

 Python入門者向けのチュートリアルを担当した遠藤です。チュートリアルで使用したテキストはこちらで公開しています。

 このチュートリアルでは、対話型インタープリタに1行ずつ入力して実行しながら動作を確認していく、といった形式で進行していきました。実際に動いているものを見て、自分で動かして学んでいく、というアプローチです。

 専門書を読みながら少しずつ理解を深めていくのも1つの方法ですが、なかなかまとまった時間が取れない、なんとなくハードルが高いといった事情で手が付けられていない方も、もしかするといらっしゃるかもしれません。まずは手を動かしてみて、段々と慣れていくという方法も、成功への道かと思います。

 チュートリアルの受講者さんからは「進行は速く感じたが限りある時間内にまとまった知識を得られた」、といったご意見をいただきました。また、チュートリアル後に熱心に質問に来てくれた方がいたのも嬉しいことでした。

 初心者にありがちな、どこが分からないのかが分からない、といったジレンマの状況から、少しでも前進できるきっかけになれば幸いです。

 このような初心者・初級者に向けたチュートリアルのセッションは、Pythonのユーザ人口やユーザ層を増やすという意味もありますので、今回だけでなくこれからも続けていきたいと思っています。次回は、海外のカンファレンスにあるような「チュートリアルデイ」を設け、カンファレンスとは別に前日に一日掛けてチュートリアルを行うといったことも考えています。


英語セッションについて

 Programのページをみていただくと分かりますが、ユニオンジャックが表示してあるセッションがいくつかあります。これらは英語で発表が行われる英語セッションで、PyCon JP 2011ではKeynoteに加えて4つの英語セッションがありました。今回は特に力を入れて宣伝をしなかったにもかかわらず、台湾から2名(Sinker、hychen)のスピーカーが英語セッションで発表をしてくれ非常にうれしかったです。

 『英会話ができないのはすごくもどかしかった』とおっしゃている方もいますが、私自身たどたどしい英語でTarekやSinker、hychen達とコミュニケーションを取っていました。次回以降に向けて、もっと英語を使えるようにならなくてはと思います。Partyなどで話しているときに、他のスタッフや参加者も似たようなことを言っている方もいたので、共通の感覚なんだと思います。

 全体としては英語セッションへの参加者も予想以上に多く、次回以降より多くの英語セッションを増やしていくことへの勇気がわきました。

日本語セッションについて

 日本語セッションについては「参加者の裾野を広げよう」ということで、プログラマではない人やPython以外の言語を普段使っている人にも楽しめるように「初級者、ノンプログラマ向け」のセッションを増やしました。

 実際に『Pythonを使い始めて数か月』という参加者の方にも楽しんでいただけたようでほっとしています。この流れを今後も続けていきたいと思います。

パネルディスカッションについて

 パネルディスカッションの司会(モデレータ)を担当した池です。今回のPyConでは技術イベントとして一味違ったセッションを行いました。それが、「Pythonで働くということ」と題したパネルディスカッションです。

 パネリストは次の経営者の方々をお呼びしました。

 ディスカッションの内容は、できる限り記録を残さず、パネリストの方に暴露していただくように配慮しました。

 ディスカッションの内容は多岐に渡りましたが、ここでも徹底して割愛します。ごめんなさい。気になる方は『PyConJP に行ってきた - 混沌脳内』を読むと当日の雰囲気が分かるかも知れません。

 今回の問題(Problem)としては、

  • パネルディスカッションと銘打ったが、パネルを使えなかった
  • 事前準備が不足しており、来場者の皆さんを巻き込めきれなかった
  • 司会(モデレータ)が固かった

 今回のよかった点(Keep)としては、

  • 運営側による記録を行わない
  • パネリストの話しやすい環境を構築できた
  • いくらか会場からの質問をパネリストにぶつけることができた
  • 60分の長さは長いようでちょうどよい

 次回の挑戦(Try)としては、

  • もっと暴露話を引き出す
  • 来場者の皆さんを巻き込む策を練る
  • パネルを効果的に使う
  • 今回お呼びできなかった経営者の方を招く

 最後に重要な失敗を1つ。パネリストに以下の質問をすることを失念していました。

  • "Pythonコミュニティに期待することは?"

 大変重要な質問であるにもかかわらず、話題に触れずごめんなさい。

 次回もパネルディスカッションを行うことができるのであれば、セッションにぜひ足を運んでください。みなさんと再びお会いできる機会を楽しみにしています!

Lightning Talks

 再びプログラム担当の鈴木たかのりです。Lightning Talksでは10人のスピーカーに以下のタイトルでトークをしていただきました。

  1. Expert JavaScript Programming for Expert Python Programmer(Yoshiki Shibukawa
  2. Python で RDMA を・・・(danna
  3. pyssp(Shunsuke Aihara
  4. Cassandraのトランザクションサポート化 & web2pyによるcms用プラグイン開発(Koji Kishimoto(Scubism)
  5. 3DCGソフトでのPython紹介(hiromu
  6. Unihandecode a Transliterate Library for Unicode(Hiroshi Miura(OpenStreetMap Foundation Japan)
  7. 5分でわかる IPv6(Mitsuhiro Takanori
  8. Japanese L18N of NVDA(Takuya Nishimoto
  9. Oktest - a new style testing library for Python(Makoto Kuwata
  10. PyCon JP 2011 Lightning Talk No.10(Yoji Takeuchi

 PyCon mini JPに続いてLT司会をさせていただきましたが、前回の反省を生かして事前に次の発表について話すことを減らすことにより、ネタかぶりを無事避けることができました。

 今回、当日になって一名発表に来られないことが分かり、急遽「誰か発表できる方いませんかー」と聞いたところ、Takeuchiさんが手を上げてくれて最後に大トリとして発表して頂きました。ありがとうございます。

 また、事前にLT枠が埋まってしまったのでLT当日枠がなくなってしまいました。次回は当日募集のみにしてもいいのかなーと個人的には思っています。

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この記事の著者

保坂 翔馬(ホサカ ショウマ)

どこにでもいる普通のプログラマ。 主にPython界隈で活動中で、勉強会に出没したり、PyCon JP運営チームに参加するなど。 最近はPyPyに興味を持って開発・翻訳などをしたりしている。 パーフェクトPythonの著者の一人 PyCon APAC 2013副座長 Python mini Hack-a-thonの主催の一人 趣味は自転車・バイク・ボルダリングなど。 Twitter: @shomah4a ブログ: プログラマのネタ帳 二冊目

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鈴木 たかのり(スズキ タカノリ)

PyCon JP 2016座長。 株式会社ビープラウド所属部内のサイトを作るためにZope/Ploneと出会い、その後必要にかられてPythonを使い始める。PyCon JPでは2011年1月のPyCo...

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寺田 学(テラダ マナブ)

一般社団法人PyCon JP 代表理事。Plone Foundation Ambassador。株式会社CMSコミュニケーションズ 代表。NVDA日本語チーム 監査。Zope/Ploneの専門家として,大学系・公共系などのCMSコンサルティングや構築を手がけている。PyCon JPには、初回からスタッフとして活動。他のOSS活動も行っている。開発者してはPloneコアコミッターとして,Ploneの開発にも携わっている。Tw...

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遠藤 隆尚(エンドウ タカナオ)

Vettl Inc. CTO地ビール・サンクトガーレン湘南ゴールドとサーフィンのために日々働く。Google App Engineなどで全般的にPythonを使うかたわら、Erlang製のWebSocket Server Shirasu.wsを開発している。Twitter: @MiCHiLU ブログ: 湘南ぱいそん

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杵渕 朋彦(キネブチ トモヒコ)

一介のプログラマ。エンタープライズなところで仕事をしていて普段はJavaを使っている。Pythonは個人の活動で使用している。主に言語そのものや理論に興味があり、CPython 3.2ソースコードリーディングスタート代数を開いている。Twitter: @cocoatomo

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畠 弥峰(ハタ ヒロタカ)

PyCon JP 2016 チュートリアル担当。 Webアプリケーションを中心に10年近くPythonで仕事をしている。PyCon JPには2011年からスタッフとして活動。 Twitter: @flag_boy

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

池 徹(イケ トオル)

雑食ソフトウェアエンジニア教育研修コンサルタント、システムインテグレータ、外資系サーチエンジンを経て、オーストラリアの企業から忍者の称号を授るが抜け忍となる。現在は職を探すべく暗躍中。2011年の初夏にEuroPythonに行って以来、PyPyにのめり込み、ついには日本コミュニティ pypy-ja の立ち上...

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森本 哲也(モリモト テツヤ)

一介のプログラマ。Anacondaのソースを読み始めたきっかけから Python という言語の特徴やプログラミングに興味をもつようになる。 プログラマとして生きていくにはどうすれば良いかを日々考えている。 オープンソースやそのコミュニティが大好き。Twitter: @t2y ブログ: forest book

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清水川 貴之(シミズカワ タカユキ)

ドキュメンテーションツール Sphinx のメンテナ。 Sphinx-users.jp 運営。 一般社団法人PyConJP理事。 株式会社ビープラウド所属。 著書/訳書:「Pythonプロフェッショナルプログラミング第2版」「Sphinxをはじめよう」「Pythonプロフェッショナルプログラミング」「エキスパートPythonプログラミング」。 http://about.me/shimizukawa

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CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/6151 2011/09/15 14:00

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