6. デプロイジョブを作成する
インストールが完了したので、次にJenkinsのジョブを作成します。Jenkinsはこのジョブという単位で処理を実行します。作成するジョブはチェックアウトからビルド、デプロイまでを行うジョブを作り、さらに後続のジョブとしてSelenium2のテストを追加します。
今回使用するアプリケーションおよびSelenium2のテストコードについては、記事添付のサンプルファイル一式がSubversion上にコミットされていることを前提としています。
Subversionを利用しない方法も併記していますので、ご確認ください。
6.1. 新規ジョブを作成する
まずは、新規のジョブを作成します。
Jenkinsの画面左にあるメニューより、「新規ジョブ作成」をクリックし、ジョブ名「MyAppDeploy」を入力、ジョブの種類は「フリースタイル・プロジェクトのビルド」を選択し、「OK」ボタンを押下します。
6.2. ソースコード管理
次に、ソースコード管理より利用しているSCM(ソースコード管理システム)を選択します。デフォルトで選択できるのは、CVSとSubversionですが、Jenkinsプラグインの追加によって、GitやMercurialといった他のSCMの利用も可能です。
今回はデフォルトで利用できるSubversionを例に、リポジトリURLの項目にテスト対象のWebアプリケーションをチェックアウトするためのURLを設定しています。
6.3. Subversionを利用しない場合
Subversionリポジトリが用意できない場合など、試してみるだけであれば下記のようにすることもできます。ソースコード管理は「なし」を選択し、プロジェクトの高度なオプションの「高度な設定」ボタンを押下します。
次に、「カスタムワークスペースを使用」にチェックし、「ディレクトリ」に前述のファイル一式を展開したディレクトリを指定します。
6.4. ビルド・トリガを設定する
次にビルド・トリガを設定します。ビルド・トリガとは、ジョブを開始するきっかけを指します。ビルド・トリガに指定できるのは下記の3つになります。
- 他プロジェクトのビルド後にビルド
- SCMをポーリング
- 定期的に実行
ここでは、SCMをポーリングを選択し、スケジュールの欄に15分ごとを意味する。「H/15 * * * *」と入力します。
スケジュールの記述はUnix系OSで提供されているコマンドの定時実行機能cronの書式に似ています。?のアイコンをクリックすると詳しい説明が出てきます。
この設定によって、15分ごとにSCMを監視して変更があればジョブが実行されることになります。
6.5. ビルドを設定する
ここでは、Mavenを利用してwarファイルを作成します。
ビルドより「ビルド手順の追加」ボタンを押下して、「Mavenの呼び出し」を選択します。使用するMavenには、先ほどインストールした「manve3.1」を選択し、ゴールには「war:war」を入力します。
6.6. Tomcatにデプロイする
APサーバにデプロイする方法はいくつかありますが、本記事では、Deploy Pluginを利用してデプロイします。
「ビルド後の処理の追加」ボタンを押下し、「Deploy war/ear to a container」を選択します。
「WAR/EAR files」にデプロイ対象のwarファイルを指定します。
WAR/EAR files : target/my-webapp.war
「Container」にはデプロイ先の「Tomcat 7.x」、管理情報には下記の情報を入力します。
- Manager user name:tomcat
- Manager password:tomcat
- Tomcat URL:http://localhost:8080
ここまでで設定を保存します。「保存」ボタンを押下してください。
6.7. 管理者ユーザの設定
上記でJenkins側に設定したデプロイ用の管理者ユーザ名、パスワードについては、Tomcat側では、[Tomcatインストールディレクトリ]/conf/tomcat-users.xmlに記載してあるユーザ名、パスワードと一致を確認しますので、こちらのファイルを下記のように修正してください。
修正後は設定値を反映するために、Tomcatを再起動してください。
ユーザ名、パスワードは上記の設定と一致していれば任意の値でも構いません。
<tomcat-users> <role rolename="manager-script"/> <user username="tomcat" password="tomcat" roles="manager-script"/> </tomcat-users>
6.8. アプリケーションの起動を確認する
ここまでの作業で、常に最新のアプリケーションがAPサーバにデプロイされ、実行・動作確認ができる準備が整いました。
さっそく、画面左側のメニューより「ビルド実行」をクリックしてビルドを実行し、APサーバへのデプロイを確認してみましょう。
下記URLにアクセスするとサンプルアプリケーションとして用意した「足し算アプリ」が実行できます。
これだけでも、アプリケーションがどこまで実装されているのかをプロジェクト関係者で共有でき、他の機能に悪影響を及ぼしていないかなど、即座に確認できるというメリットがあります。