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クラウドネイティブ時代のデベロッパー生存戦略

AWSが普及すれば、プログラマが活躍できる世界になると思った――ソラコム 片山暁雄さんのキャリア

クラウドネイティブ時代のデベロッパー生存戦略 第1回(前編)


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「さすがに箱を買うのは嫌だ」とAWSに興味を持つ

Ryuzee.com 吉羽龍太郎さん
Ryuzee.com 吉羽龍太郎さん

吉羽 SIer時代にAWSは知ったんですよね。

片山 そうです。AWSを知ったきっかけとなるエピソードがあるんですが、2001年ぐらいかな、その時ASP(Application Service Provider)って流行ったじゃないですか。

吉羽 はいはい。

片山 自社で、お客さんが持ってる資産シミュレーションができるようなASPをやろうっていって、結構な金額でシステムを一式買ったんですね。本番系が冗長化されてて、その時でストレージが1TBぐらいあったのかな。すごく高価なものを。初めはすごく力を入れて開発してたんですけど、やっぱり受託の案件が入ってくると、そっちに人が取られちゃうじゃないですか。なので結局残ったのが数人になっちゃって。僕と、その時にいたすごく優秀な先輩とで作ってたんですけど、まあ、あんまり売れずで。結局その赤字だけが残って、あんまりいい仕事じゃなくて。

 で、会社自体もちょっと危ない雰囲気にはなったんですけど、まあ新卒1年で製造業辞めて、IT企業でもまた1、2年で辞めてると、さすがに次はないよねって思ったので。2008年か2009年のことだったかな、会社も持ち直してきたので、社長が、以前うまくやれなかったASPをもう一度やりたいと。

吉羽 ちゃんとやろうとしたわけですね。

片山 その時は、僕も会社の中でも決定権を持てるようになっていたので、インフラをどうしようかという時に、さすがにもう箱を買うのは嫌だなと。

吉羽 リスクもあるし。

片山 そうそう、その時たまたまAmazon EC2の記事を見て「Amazonが時間課金で貸してくれるんだ」と。これはいいなと思って使い始めたのが、最初のAWSとの出会いです。それはすごく、僕の中では衝撃でしたね。

吉羽 玉川(憲)さんのパターンとけっこう似てますね。玉川さん、北米に留学してる途中にAWSに出会って衝撃を受けたと言っていたので。で、その後AWSのコミュニティに出入りするようになったと。

片山 そうですね、情報が全然なかったので。そのきっかけになったのも、金融系アプリケーションの画面を作るためにAdobeのFlexを使っていた関係からFlexのユーザーグループに出入りしていたんです。今はAWSのマーケティングをされている小島(英揮)さんがその時はまだAdobeにいて、たまたま小島さんから「Adobeを退職してAWSに行きます」というメールが僕のところに来たんですね。「実は僕もAWSを使っているので、話しませんか」と返信して、僕と大谷(晋平)さんと米林(正明)さんの3人でAWSのオフィスに行ったんじゃなかったかな、確か。小島さんからユーザーグループを作るので一緒にやりませんか、と言われたのが最初ですね。

 その前も、自分たちでオープンソースに触れたり、コミュニティ活動をしたりしていました。会社の中だけだと技術が身に付かないし、もうちょっと情報がほしいなと思ってたんですよね。

 2003年の時、初めて自分がPMをやる案件の時に、当時は全然知らなかったんですが、Strutsを使ったんです。IBMのアーキテクトの方が「ソースが全部公開されていますよ」と言っていたので、中身を知らないと使えないし、まずはソースを見ようと思って、全部読みました。

吉羽 すごいね。えらい。

片山 なぜかというと、僕の先輩はとても優秀で、デザインパターンやフレームワークをよく知っていたんです。プログラムを設計するということは、これらをうまく使うもんだっていうことを、最初から教えてもらってたんですよ。

吉羽 すごく良い教育を受けたんですね。

片山 そうなんですよ。実際にフレームワークがあったおかげで、外部環境の仕様変化をうまく吸収できたり、ものが作りやすかったりするってのも身を持って体感してたので。フレームワーク自体にすごく興味がありました。

吉羽 フレームワークやオブジェクト指向できれいに作れたんですね。

片山 助けられたという感じですね。それで、フレームワークって、オープンソースって面白いなと思って。社内にいなくても、オープンソースのつながりでもっと勉強できる、これって本当にすごいことだって思いました。自分でも作ったものをオープンソースにしてみたり。ちょうどその時、自分でアプリケーションサーバを作っていたので、それを公開したんですね。それがきっかけなのもあり、オープンソースのいろんな人たちと交流がありました。

吉羽 コミュニティのつながりも増えて。

片山 イベントをやったり、勉強会を開いたり。あとは、自分たちで作っていたオープンソースのフレームワーク「T2Framework」の成果をイベントで発表もしていました。コミュニティのみんなで、スカイプ経由で仕様を詰めたり、こんなライブラリあったよという話をしたりしてました。

 前の会社にかなり長くいたのも、仕事は仕事でやりつつ、もっと情報が欲しいんだったら外に行けばいいことを身をもって体感したからなんですよね。で、逆にその自分たちが出す情報が他の人にプラスになるんだったら、それはすごくいいことだと思って。AWSのユーザーグループを作ろうという話が来た時は、ぜひやってみたいと思いました。

吉羽 参加するより自分が主催したり発表したりしたほうがよっぽど勉強になるってことですね。

片山 そうなんです。僕たちがやってたのは、「知っ得納得Webフレームワーク」っていう勉強会で、Webフレームワークっていろいろあるけど、どれを使えばいいかわからないじゃないですか。なので、1人1つテーマを決めて、調べてきたことを発表するっていうことをやってたんですね。講師になると一番勉強するんですよ。

吉羽 あんまり間違ったことを言えないですし。

片山 正しいことを伝えるために調べたり、動作確認したりするから、すごく勉強になるんですよね。

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この記事の著者

吉羽 龍太郎(Ryuzee.com)(ヨシバ リュウタロウ)

 クラウドコンピューティング、DevOps、インフラ構築自動化、アジャイル開発、組織改革を中心にオンサイトでのコンサルティングとトレーニングを提供。 認定スクラムプロフェショナル(CSP) / 認定スクラムマスター(CSM) / 認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)。Developers Summit 2016ベストスピーカー(1位)。 著書に『Amazon Web Services企業導入ガイド』(マイナビ)、...

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