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プログラマーが小説を書くとは

プログラミングの経験を活かして異業種に挑む方法

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推敲フェイズ2 - 機械校正

 ソフトウェアを使った、機械的な校正作業を行います。

 校正ソフトを利用して、誤字脱字をチェックして、表記揺れを確認して修正します。校正ソフトは、株式会社ジャストシステムの「Just Right!」を利用しています。自分の目でチェックするより、遥かに多くの問題点を洗い出すことができます。これで凡ミスを相当数防げます。色々なソフトを試しましたが、「Just Right!」が最も出来がよかったです。

 この「Just Right!」での確認は、以降、各フェイズが終了する度に実行してチェックを行います。

 また、独自の自動確認ツールも利用しています。それらには、以下のようなものがあります。全てを使っているわけではなく、必要に応じて投入します。

  • 単語の近傍探索ツール:同じ単語が、ある範囲で重複して出現するかを可視化するツール。
  • 章ごとのボリュームを可視化するツール:極端に長い、あるいは短い章を見つけて、修正するためのツール。
  • 音声読み上げツール:目ではなく、耳で誤字脱字を洗い出すツール。「Just Right!」導入後、使わなくなった。

 自動確認ツールのいくつかは、「クロクロ・ツールズ」にアップして、Webで利用できるようにしています。

単語の近傍探索ツールの出力結果

 初期の頃は、音声読み上げツールを多用していました。その頃のノウハウは、後に「ラジオ・ブラウザ」や「読みトーク」といった、小さなツールになっています。

 また、単語の近傍探索ツールなどは、node.js用のプログラムとして書くことが多いです。あるいは、ブラウザ上で実行するツールとして書きます。

 その他のツールとしては、Diffツールを使うことが多いです。「WinMergeU」や「KDiff3」を使っています。

 今後登場するだろうと思っているツールについても書きます。現時点では、まだ実用的なツールは出てきていないようですが、文体や視点が統一されているか確認する、人工知能系のソフトが出てくると思います。人工知能は、そうしたもののチェックに向いていると思いますので。

推敲フェイズ3 - 紙推敲1

 新人賞の応募規定では、1行の文字数が決まっています。この1行の文字数に合わせて紙に印刷して、確認を行います。どの段階でもそうですが、文章の大幅な修正は、躊躇せずに実施します。

 この紙推敲は、モニター推敲よりも実際の読書体験に近くなります。そのためモニター推敲よりも重要です。

 こうした最終出力媒体での確認は、必須です。プログラミングでも、実機でデバッグをしないと痛い目に合います。新人賞では、選考を行う人は、紙で文章を読みます。そのため、実機に相当する環境(印刷したA4サイズの紙)での確認が大切です。

 また、紙で確認する理由は他にも2つあります。一つは、紙の方が誤字脱字などを見つけやすいからです。モニター上の文字は、目に引っかからず、読み飛ばしてしまいます。モニターでは見落としていたミスを、紙では効率よく発見することができます。

 もう一つの理由は、モニターと紙では、一覧できる文字数が違うためです。その結果、文章を読む速度が異なってきます。こうした差異の結果、最適な一文の長さや、句読点の数が変わります。携帯小説の一文が短いのは、そうした読書環境の違いがあるためだと考えています。

 この紙推敲は、初期の頃は10回ぐらいでしたが、最近は3~4回ぐらいに落ち着いています。

推敲フェイズ4 - 紙推敲2

 前回の推敲から数日置いて、脳内をリセットしてから、紙推敲1と同じことをします。時間を置くことで、以前よりも客観的に小説を読むことができるようになるからです。ブラウザのキャッシュを削除するのと同じです。

 文章や内容に違和感がないか、丁寧に確認してバグを取っていきます。エラーを見つければ、面倒臭がらずに大手術もします。

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最後に

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この記事の著者

柳井 政和(ヤナイ マサカズ)

クロノス・クラウン合同会社 代表社員http://crocro.com/オンラインソフトを多数公開。プログラムを書いたり、ゲームを作ったり、記事を執筆したり、マンガを描いたり、小説を書いたりしています。「めもりーくりーなー」でオンラインソフト大賞に入賞。最近は、小説家デビューして小説も書いています(『裏切りのプログラム』他)。面白いことなら何でもOKのさすらいの企画屋です。 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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