執筆手順とプログラマー的ツールの使い方
ここでは、執筆手順を示し、各時点での作業と、そこで使うツールの話をします。手順は、少しずつ改良して変え続けています。そのため、現時点での記録でしかないことは、ご了承ください。また、以下説明することは、長編を書く時のためのものです。短編の時には、もっと簡易化しています。
作業は、感情や気分に左右されないように、可能な限り機械的にできるように落とし込んでいます。
下記の通り、推敲フェイズの段階が多いです。これは、執筆フェイズを映画の「撮影」になぞらえ、その後の推敲フェイズを、フィルムの編集や演出の調整、特殊効果の追加といった「ポストプロダクション」と位置付けて、作業しているためです。
-
設計フェイズ
- 企画書、設計書作成
- キャラクターシート作成
- プロット作成
- 執筆フェイズ
-
推敲フェイズ
- 推敲フェイズ1 - モニター推敲
- 推敲フェイズ2 - 機械校正
- 推敲フェイズ3 - 紙推敲1
- 推敲フェイズ4 - 紙推敲2
- 推敲フェイズ5 - 最終推敲1
- 推敲フェイズ6 - 最終推敲2
設計フェイズ
執筆前の準備を行うフェイズです。3つのステップに分かれます。
- 企画書、設計書作成
- キャラクターシート作成
- 詳細プロット作成
これらの作業方法は、以下のように変遷していきました。
- 初期:テキストエディタにあらすじ。
- 中期:「OpenOffice.org」の「Calc」で表を作成し、マクロで情報を参照可能にする。
- 最近:自作のマークダウンツール(マークダウン形式を一部改良)。
自作のマークダウンツールは、テキストファイルとして各種情報を書き、ローカルサーバー経由でHTML化して閲覧します。元のファイルがテキストファイルですので、そのファイルを「Dropbox」などに入れて、スマートフォンで修正することも可能です。
企画書、設計書作成
企画書は、小説のマーケティング的な売りや特徴、企画意図などをまとめたものです。設計書は、表現形式や、ショート・プロットをまとめたものです。
企画書や設計書は、穴埋め式のテンプレートを用意しています。この項目を埋めていくことで、商品企画と設計概要ができあがるようにしています。
このテンプレートは、新しい小説を書く際に、前回の反省を元にアップデートします。項目のアップデート基準は2点です。「有効な項目だったか」「書き込むのが難しかったか」です。書き込むのが難しいということは、項目として問題があるか、適度な粒度になっていないということです。変える、削る、分割するといった何らかの対処が必要です。
キャラクターシート作成
キャラクターの役割配分は、基本的にハリウッドスタイルです(『スター・ウォーズ』的なキャラクター配置)。その役割に、主要キャラクターが割り振られています。
主要キャラと、登場頻度の高いサブキャラについては、全てキャラクターシートを作成します。外面設定(外見、能力、社会的環境、特徴、家族関係など)、内面設定(動機、魅力、それらのエピソードなど)、経歴(過去の事件や出来事)を記入します。
経歴については、日付や物語開始時点からの時間を記入すれば、マークダウンツールが自動で、各種時間を計算して表示します。こうすることで、最小の手間で、必要な時間情報を得られるようにしています。
このキャラクターシートの項目は、小説の内容に合わせてカスタマイズします。項目は、小池一夫氏の影響が強いです。
詳細プロット作成
かなり細かいプロットを書きます。最終的なアウトプットの20%程度の分量になることが多いです。映画で言うところの、プリビズ(Pre-Visualization、アニマティックなどとも言う)に相当するものです。
この詳細プロットを作成しながら、必要な情報を調べたり、実現可能性を検討したり、現地に行って調査したりします。この詳細プロットでは、小説的な表現が入らないだけで、物語の流れやギミックは全て入れます。
また、詳細プロットが完成したら、穴がないか、より面白くできないかという視点で、何度も見直して適宜修正します。この作業を納得いくまで重ねたあと、執筆作業に入ります。