freee APIを活用し、現場自ら効率化に取り組む
freeeでは、ノンエンジニアの人たちも業務改善に取り組む文化がある。エンジニアの工数管理や業務委託契約の社内処理、プロジェクトの進捗確認などバックオフィス系の業務に従事しているさぁやさんはその一人。例えばこれまでエンジニアの工数管理では、プロジェクトの開始申請をスプレッドシートに記入して申請してもらうという方法を採用していた。
「全員が同じスプレッドシートを使って個別に申請するので、非常に煩雑になっていました。たとえばプロジェクトコードも自分たちで振ってもらっていたので、同じタイミングで申請する際、コードが重複しないかなどの懸念がありました」(さぁやさん)
さぁやさん
freee株式会社 Engineering企画
山形大学工学部卒。接客業、事務・秘書、回路設計など多くの経験を経て2016年にfreeeに入社。開発チームのバックオフィスとして、エンジニアの採用や企画・総務を担当。
好きなものはRPG、ホラー・サスペンス映画、お刺身、からいもの。
そこで会計freeeが提供しているAPIを活用し、Googleフォームから会計freeeのワークフローに申請を飛ばすよう改善したという。さぁやさんは過去2年ほどエンジニア経験があるが、ちょっとしたスクリプトを書ける程度で、APIへの理解もそう深いわけではなかった。だが、機能を調べて実装し、「改善して、楽になったねというフィードバックをいただいたときは、うれしかったですね」と笑みを浮かべる。
バックオフィス業務は単体のSaaSで完結することは少ない。何かと何かを組み合わせて処理をするというニーズは今後ますます高まることが予想される。社内でもfreeeの活用をしている同社では、APIの充実を図ることにも積極的に取り組んでいる。「社内にはAPIのチームに問い合わせるチャットグループがあり、そこに要望をどんどん投稿できます」(さぁやさん)
freeeのように、業務改善のための専門組織を持つ会社は多くない。一人で業務改善を進めるには、どんなことから始めるとよいのか。
「何か作ることから始めることをお勧めします。ちょっとした便利ツールを作って、社内SNSなどで公開してみる。すると誰かが使ってくれるかもしれません。些細なことでも発信すると、相談してみようという流れになると思います」(廣野さん)
「ノンエンジニアの人たちは、プログラミングは難しいという印象が強いと思いますが、ネットを検索するといろいろ情報が見つかります。複雑なところはエンジニアと連携することは必要ですが、どうしたら今より業務が楽になるのか、理想の状態がどんなものなのかを考えて、自分たちができる業務効率化に取り組んでほしいですね」(さぁやさん)
コミュニティ活動を大事にし、サービスに生かす
スモールビジネスの人たちが幸せになるプロダクトを目指して邁進しているfreee。そのためにコミュニティ活動を大事にしているという。例えば廣野さんが2017年に立ち上げた、社内SEやITコンサルなど、業務効率アップの仕組み作りに取り組んでいるエンジニアのつながりをつくる「GYOMU Hackers Guild」というコミュニティもその一つ。同コミュニティでは2カ月に1回、GYOMU Hackers Nightを開催。
「これまではオフラインでテーブルトークやLTを実施し、集まった人たちで悩みや考えていることを共有する場を作っていました。ですが、コロナ禍によりオフラインでの開催が難しくなり、今はZoomのブレイクアウトルーム機能を使って、オンラインで開催しています。東京以外の福岡や愛知の方も参加してくれるなど、GYOMUハックの盛り上がりを感じています」(廣野さん)
また開発者中心のコミュニティとしては「freee Open Guild」を開催している。こちらはAPI改善のヒントを得る機会になっているという。
最後に廣野さん、さぁやさんに今後、どんなことに取り組んでいきたいのか、将来展望についてたずねた。
「ITの業務改善は会社の成長に直結しています。3年後、5年後の中長期の会社の成長のイメージをしながら、業務基盤の戦略をつくっていきたいですね」(廣野さん)
「freeeはどんどん機能を追加しています。進化したAPIを使って、ノンエンジニアの人たちでもこんなことができるんだということを普及していきたいです」(さぁやさん)
現在、freeeではスモールビジネスの困りごとを技術とアイデアで解決する「freeeアプリアワード 2020」を実施している。ぜひ、業務の現場を笑顔にするアイデアを持っているなら、ぜひチャレンジしてみよう。