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開発者がコンテナを理解する必要はあるのだろうか? 事業価値を高める開発体験が語られたVMware×Microsoftイベントレポート

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CTCが語る、Springによるクラウドネイティブ化事例

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 デジタルビジネス推進第1部 エキスパートエンジニア 稲吉 英宗氏

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 デジタルビジネス推進第1部 エキスパートエンジニア 稲吉英宗氏

 Session6では、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 デジタルビジネス推進第1部 エキスパートエンジニア 稲吉 英宗氏による「日本企業におけるアプリケーションモダナイズの実態とSpring利用の事例紹介」が展開された。

 伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)では、アプリケーションモダナイズの案件を手がけており、その中で日本企業におけるレガシーアプリケーションの実態から問題点を見てきた。そうした問題点の解説と解決策とともに、クラウドネイティブなアプリケーションの構築を支援するSpringプロジェクトを効果的に利用して実現した事例が紹介された。

 CTCではDXについて、業務を改革していく「デジタルシフト」、事業を変革する「モデルシフト」の2種類を掲げている。デジタルシフトをさらに「ワークシフト」「クラウドシフト」「データシフト」と3つに分け、ワークスタイルの変革やクラウドネイティブ化、データに基づく意思決定へのシフトをサポートしている。

 まず稲吉氏は、日本では海外に比べアプリケーションのモダン化が進んでいない問題を提起した。そこには、エンジニアリングの課題が背景にあるという。従来、システムは一つの個別ソースからコピーされて、個別に最適化され、またドキュメント化もされていないため、メンテナンス性が悪い。構造も古く、処理フローやデータモデルがモダンなアプリケーションに則さないという課題もある。ビジネス上の課題としても上層部と現場の認識の違いがある。すぐにモダン化ができるアプリケーションばかりでなく、時間もお金もかかることを上層部が理解しておらず、改修のプレッシャーが現場にのしかかっているのだ。

 アプリケーションをモダン化していくには、長期的なビジョン・方針のもと、レガシーシステムの一部をクラウド化、API化していくなど段階的な取り組みが必要となる。また上流から下流まで全て網羅した形で設計情報を一元管理することも重要だ。CTCでは顧客に対してモダナイズの支援をしているが、ある顧客ではコード数が50%も削減した。開発プロセスの見直しでは保守フェーズで30%、新機能開発では15%の生産性向上が見られた顧客や、これまで1か月かかっていた定期的な改修が1週間に短縮されるなど、実施は大変であるが大きな成果を得られている。

 稲吉氏は、モデルシフトの一例として、ANAグループの顧客体験(CX)の改善のために開発したストリーミングエンジンの事例も紹介した。航空券の予約や搭乗、運行状況、会員情報といったデータを連携していくうえで、顧客の個々の行動を把握できるようになっていた。これをさまざまなタッチポイントを活用し、最適なタイミングで顧客にアプローチして体験を向上するための取り組みである。

 2021年3月に発表されたストリーミングエンジンは、Spring BootとSpring Cloud Data Flowが採用された。稲吉氏は「信頼性の高いものとして、早く安く構築するためにSpringのフレームワークを使っています。コンテナ上でのクラウドネイティブなシステムで、アジャイルで開発し、5か月という短期間で構築できました」と説明した。

 CTCではこのように、企業のDXを支援するアプリケーションのモダン化を、戦略からクラウド移行、構築・開発、そして管理運用まで提供している。それに加えて、既存ビジネスの強化や新しいビジネスの発見など、顧客に最適なDXの設計も行う。

 稲吉氏はセッションの最後に「新たな価値、顧客体験価値の向上は非常に重要と考えています。CTCはMicrosoftやVMwareなどとグローバルなパートナーシップを展開させていただいています。親会社の伊藤忠商事自体もDX支援を加速していますので、皆様と共創しながら、顧客体験の価値向上、DXの成功といったところをサポートさせていただければと考えています」と語った。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

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