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高機能JavaScriptスプレッドシート部品「SpreadJS」の活用(AD)

「SpreadJS」のスプレッドシートをVue.js+ASP.NET Coreで活用してデータ集計するWebページを作ろう

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過去1カ月の気温をスプレッドシートに表示するWebページを作る

 本記事でSpreadJSに表示する題材は、過去1カ月の最高気温・最低気温です。これらをサーバー側のWeb APIで提供し、それをSpreadJSで表示するように実装していきます(図4)。このサンプルでは最高気温・最低気温そのもの以外に、SpreadJSのスプレッドシート機能を利用して、クライアント側で最大値・最小値・平均値を集計して表示します。

図4 SpreadJSで気温のデータを表示するサンプル(P002VueSpreadJS)
図4 SpreadJSで気温のデータを表示するサンプル(P002VueSpreadJS)

 表示するデータは、気象庁の「過去の気象データ・ダウンロード」から、2022年9月の大阪のデータをCSVファイルでダウンロードして利用します。ダウンロードしたCSVファイルは事前に内容の整形とヘッダー付加を行い、図5の状態にしておきます。

図5 Web APIで提供する気温のデータ(P002VueSpreadJS/P002VueSpreadJS/data.csv)
図5 Web APIで提供する気温のデータ(P002VueSpreadJS/P002VueSpreadJS/data.csv)

 以下では、このデータをWebページ上に表示する実装を、サーバー側(ASP.NET Coreで実装するWeb API)とクライアント側(Vue.js、SpreadJS)とに分けて説明していきます。

サーバー側の実装

 サーバー側には、図5のCSVファイルを読みだして、戻り値として返却するWeb APIを実装します。このサーバー側実装内容は、過去記事1過去記事2のサンプルと同じものです。

 サーバー側でCSVファイルを読み出すため、NuGet パッケージ マネージャーでCSVファイル用ライブラリの「CsvHelper」パッケージをインストール後、Web APIのクラスが配置されるControllers配下に、Web API処理をリスト1の通り実装します。

[リスト1]Web APIの実装(P002VueSpreadJS/P002VueSpreadJS/Controllers/TemperatureController.cs)
// 気温Web APIのコントローラー ...(1)
[Route("api/[controller]")]
[ApiController]
public class TemperatureController : ControllerBase
{
    // GET時の処理 ...(2)
    [HttpGet]
    public object Get()
    {
        // CSVファイルを読み込むReaderを生成 ...(3)
        using (var reader = new StreamReader("data.csv"))
        {
            // CSV内容を読み込むReaderを生成 ...(4)
            using (var csv = new CsvReader(reader, 
                new CsvConfiguration(CultureInfo.InvariantCulture)))
            {
                // CSVファイルからレコードを取得して返却 ...(5)
                var records = csv.GetRecords<TemperatureData>();
                return records.ToList();
            }
        }
    }
}

 クラスに付与した(1)の[Route("api/[controller]")]、[ApiController]属性により、「api/Temperature」というパスに対応するWeb APIであることを指定します。Getメソッド(2)に付与した[HttpGet]属性は、HTTP GET時の処理であることを表します。

 Getメソッド内では(3)および(4)でCSV内容を読み込むCsvReaderを生成し、(5)で内容をレコードのリストにして返却します。ASP.NET Coreの処理により、リスト内容がJSON文字列に変換されてAPIの戻り値として返却されます。

クライアント側の実装

 クライアント側の実装は、Vue.jsプロジェクトにSpreadJSを追加する方法が公式ドキュメントで案内されているので、基本的にその手順に従って進めます。最初にClientAppフォルダーでリスト2のコマンドを実行して、プロジェクトにSpreadJSを追加します。コマンド末尾の「@15.2.4」は、インストールするパッケージのバージョン指定です。

[リスト2]SpreadJSパッケージをプロジェクトに追加するコマンド
npm install @grapecity/spread-sheets-vue@15.2.4 # ...Vue.js用モジュール
npm install @grapecity/spread-sheets-resources-ja@15.2.4 #...日本語リソース

 Webページ表示時、最初に実行されるmain.jsに、リスト3の通り実装します。SpreadJSのスプレッドシート、ワークシート、列にそれぞれ対応するGcSpreadSheets、GcWorkSheet、GcColumnを(1)でインポートします。Vue.jsの初期化処理(2)で得られるVue.jsアプリのインスタンスappに対して、(3)のcomponentメソッドで、SpreadJSのコンポーネントにそれぞれ「gc-spread-sheets」「gc-worksheet」「gc-column」という名前を指定します。その後(4)でVue.jsアプリをマウント(表示)します。

[リスト3]SpreadJSのコンポーネントを登録する実装(P002VueSpreadJS/P002VueSpreadJS/ClientApp/src/main.js)
// SpreadJSコンポーネントをインポート ...(1)
import { GcSpreadSheets, GcWorksheet, GcColumn }
  from '@grapecity/spread-sheets-vue'
// Vue.jsの初期化処理 ...(2)
const app = createApp(App);
// SpreadJSのコンポーネント指定 ...(3)
app.component('gc-spread-sheets', GcSpreadSheets);
app.component('gc-worksheet', GcWorksheet);
app.component('gc-column', GcColumn);
// Vue.jsアプリをマウント ...(4)
app.mount('#app');

 ページ全体に対応するAppコンポーネント(App.vue)に、SpreadJSのコンポーネントを設定していきます。画面の表示内容を表す<template>部はリスト4の通りです。

[リスト4]SpreadJSを表示する<template>部(P002VueSpreadJS/P002VueSpreadJS/ClientApp/src/App.vue)
<template>
  <div id="spread-host">
    <gc-spread-sheets :hostStyle="hostStyle"
      @workbookInitialized="workbookInit"> <!--(1)-->
      <gc-worksheet name="気温" :dataSource="temperatures"> <!--(2)-->
        <gc-column headerText="日時" dataField="date" width="200"> <!--(3)-->
        </gc-column>
        <gc-column headerText="最高気温" dataField="maxTemperature" width="200">
        </gc-column>
        <gc-column headerText="最低気温" dataField="minTemperature" width="200">
        </gc-column>
      </gc-worksheet>
    </gc-spread-sheets>
  </div>
</template>

 まず、スプレッドシート全体を表す<gc-spread-sheets>コンポーネント(1)を記述します。スプレッドシートの表示スタイルを表すhostStyleには後述するサイズ指定(hostStyle変数)を反映します。また、workbookInitializedはスプレッドシート初期化時のイベントハンドラーメソッドで、後ほど実装するworkbookInitメソッドを指定します。

 <gc-spread-sheets>内に、1つのワークシートに対応した<gc-worksheet>コンポーネント(2)を記述します。nameはワークシートの名前、dataSourceは後述するデータ変数temperaturesを指定します。

 <gc-worksheet>内には(3)の通り、データを表示する列に対応した<gc-column>コンポーネントを、列の数だけ記述します。dataFieldはデータの属性名、headerTextはヘッダー部の文言、widthは列の幅指定です。

 一方、画面の処理内容は<script>部に、リスト5の通り実装します。

[リスト5]SpreadJSを表示する<script>部(P002VueSpreadJS/P002VueSpreadJS/ClientApp/src/App.vue)
<script setup>
import { nextTick, ref } from 'vue'
// SpreadJSをインポート ...(1)
import '@grapecity/spread-sheets/styles/gc.spread.sheets.excel2016darkGray.css'
import * as GC from '@grapecity/spread-sheets'
import '@grapecity/spread-sheets-resources-ja'
// カルチャ設定 ...(2)
GC.Spread.Common.CultureManager.culture('ja-jp')
// ライセンスキー設定 ...(3)
GC.Spread.Sheets.LicenseKey = '<ライセンスキー>'
// スプレッドシートの表示サイズ ...(4)
const hostStyle = { width: '100%', height: '500px' }
// 受信した気温データを格納する変数 ...(5)
let temperatures = ref([])
// ワークブック初期化後の処理 ...(6)
const workbookInit = (args) => {
  // Web APIからデータ取得 ...(7)
  fetch('/api/Temperature')
    .then(res => res.json())
    .then(result => {
      // データを変数に保持 ...(8)
      temperatures.value = result
      // ワークシートを装飾 ...(9)
      nextTick(() => {
        decorateWorksheet(args) // Webページにデータが反映されてから処理
      })
    })
}
(略)
</script>

 (1)でSpreadJSのCSSとJavaScriptをインポートします。(2)はカルチャの設定で、日本語(ja-jp)を設定します。(3)はライセンスキーの設定です。ライセンスキーを設定しない場合は、トライアル版である旨の透かしがスプレッドシートに表示されます。

 コンポーネント内で、スプレッドシートの表示サイズを表すhostStyle(4)を記述します。また、スプレッドシートに表示する温度データを格納する配列temperatures(5)は、変数をリアクティブにして、データの変更を画面に反映させるため、Vue.jsのComposition APIが提供するrefメソッドを利用して記述します。初期値は空の配列です。

 ワークブック初期化後に実行されるworkbookInitメソッド(6)では、(7)のfetchメソッドでWeb API(/api/Temperature)からデータを取得して、(8)でtemperatures.valueに設定します(この処理により、Web APIから取得したデータが画面に反映されます)。

 (9)は後述するスプレッドシートの装飾処理です。メソッド引数にarg(=workbookInitで渡されてくるSpreadJSのインスタンス)を渡して実行します。ここではVue.jsが提供するnextTickメソッドにより、Webページにデータが反映されてから装飾処理が実行されるようにします。

スプレッドシートのヘッダー行に集計行を追加

 リスト5(9)のdecorateWorksheetメソッドには、スプレッドシートを装飾する処理を、リスト6の通り実装します。

[リスト6]スプレッドシートを装飾する処理(P002VueSpreadJS/P002VueSpreadJS/ClientApp/src/App.vue)
const decorateWorksheet = (spread) => {
  // ワークシートを取得 ...(1)
  const sheet = spread.getActiveSheet()
  // 最高気温・最低気温列のフォーマット設定 ...(2)
  sheet.setFormatter(-1, 1, "#.0", GC.Spread.Sheets.SheetArea.viewport)
  sheet.setFormatter(-1, 2, "#.0", GC.Spread.Sheets.SheetArea.viewport)
  // ヘッダーが4行になるよう設定 ...(3)
  sheet.setRowCount(4, GC.Spread.Sheets.SheetArea.colHeader)
  // 最大値ヘッダー行のスタイルを定義 ...(4)
  const style1 = new GC.Spread.Sheets.Style()
  style1.backColor = '#ffe6d5'
  style1.foreColor = '#ff0000'
  style1.formatter = "#.0"
  // 最大値ヘッダー行に文字を指定 ...(5)
  sheet.setValue(0, 0, '最大値', GC.Spread.Sheets.SheetArea.colHeader)
  // 最大値ヘッダー行にスタイルを指定 ...(6)
  sheet.setStyle(0, -1, style1, GC.Spread.Sheets.SheetArea.colHeader)
  // 最大値ヘッダー行に数式を指定 ...(7)
  // 2列目:「=MAX(<シート名>!B:B)」、3列目:「=MAX(<シート名>!C:C)」
  sheet.setFormula(0, 1, `=MAX(${sheet.name()}!B:B`,
    GC.Spread.Sheets.SheetArea.colHeader)
  sheet.setFormula(0, 2, `=MAX(${sheet.name()}!C:C`,
    GC.Spread.Sheets.SheetArea.colHeader)
(以下略:最小値と平均値の行をヘッダーに設定)
}

 引数に渡されるSpreadJSのオブジェクトspreadのgetActiveSheetメソッド(1)で、処理対象のワークシートを取得します。(2)は、スプレッドシートの最高気温、最低気温の列にフォーマットを設定する処理です。setFormatterメソッドの第1引数は行(-1はすべての行を表す)、第2引数は列、第3引数の「#.0」は数字を小数第一位まで表示することを表し、第4引数のGC.Spread.Sheets.SheetArea.viewportはビューポート(つまりワークシートの本体)に対する処理であることを表します。

 (3)ではsheet.setRowCountメソッドで、ヘッダー行が4行になるように指定しています。第2引数のGC.Spread.Sheets.SheetArea.colHeaderは、ヘッダー行に対する処理であることを表します。

 (4)でGC.Spread.Sheets.StyleクラスのオブジェクトにbackColor(背景色)、foreColor(文字色)、formatter(表示フォーマット)を設定します。

 (5)のsetValueメソッドでセルの値を、(6)のsetStyleメソッドでセルのスタイルを、(7)のsetFormulaメソッドでセルの数式を、それぞれヘッダー行に設定します。各メソッドの第1引数は行番号、第2引数は列番号、第3引数は設定値です。第4引数のGC.Spread.Sheets.SheetArea.colHeaderはヘッダー行を表し、(5)の第2引数(列番号)「-1」は、すべての列への指定を意味します。

 以上の実装により、図4のスプレッドシートをWebブラウザーに表示できます。Web APIから取得できるのは最高気温と最低気温の生データだけですが、SpreadJSのスプレッドシート機能により、最大値・最小値・平均値をクライアント側の処理により表示できます。

次のページ
フレームワークやライブラリが違ってもSpreadJSの利用法は一緒

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この記事の著者

WINGSプロジェクト  吉川 英一(ヨシカワ エイイチ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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