マネージャーが語る、女性が活躍する会社でのやりがいとは
ここからは二人のトークとなる。最初のテーマは「なぜチームに女性が多いのか?」
麻生氏の部署は先述した通り、9割が女性となっている。IT業界の女性は2割程度と考えれば、かなり特殊だ。なぜこれほどまでに多いのか。二人とも明確な理由は見い出せないものの、いくつかの仮説を挙げて考察した。
1つめの仮説として「リファラル採用が多い」というのがある。女性が女性を紹介することで、女性が増えていくという説だ。麻生氏は「女性だと採用面接で部署の男女比を質問されるケースが多い気がする」と指摘する。女性にとって、自分の性別がマイノリティになるのかは気になるところだ。それなりに女性が多いと分かると安心できるのかもしれない。
小山氏の部署だと男女半々程度だが、それでもIT業界では女性が多いほうだ。小山氏は「新卒の時点で男女比が半々で配属されて、そのまま維持できているから?」と言う。マネージャーもほぼ男女が比半々で、女性の先輩のロールモデルがいるため安心してキャリアを継続できるのかもしれない。
続けて麻生氏は「強いて言えば、あまり先端技術を扱わないから」と述べた。同社はDXに取り組んでいるので世間一般から見たら先端技術を扱っているとは言え、エンジニアから見たら最先端というよりは「割と安定した技術」が多いと言える。麻生氏の採用面接での感覚では「男性のほうが新技術に興味があったり、そこにモチベーションを感じたりする印象がある」と話す。裏返すと、割と安定している技術を扱うことが女性エンジニアには好感が持てるのかもしれない。
あるいはすでに「女性が9割」だと多くの男性にとっては入りづらいのかもしれない(もちろんそうでない男性もいる)。などといろいろと仮説を立てつつも、結論は出ず「よく分からない」となった。無理もない。
もう1つのテーマは「(女性が多い組織の)マネジメントで大変なこと」。
これについて二人とも「特にない」と第一声で答えるものの、いろいろと考察した。麻生氏は「部下が若いと大変なことはあるが、女性だからというのはない」と言う。性別によらず仕事にどれだけ没頭したいか、プライベートを重視したいかは個人差があるので、麻生氏は「決めつけることなく、相手と会話していくプロセスが必要」と話し、マネジメントで気を配っているところになるようだ。
小山氏は「女性のほうが二極化する」と言う。女性のほうが「がむしゃらタイプ」と「ほどほどタイプ」の違いが明確にわかれる。とはいえ、麻生氏同様に「個人に合わせた業務のやり方を考えていく必要がある」と気を配っている。また二人とも、部下に対して丁寧に説明していく必要性があることについては一致していた。
また女性が多いチームが会議室を使うと「いい香りが残る」と
和気あいあいと楽しめるところは比較的女性が多いからかもしれない。小山氏は「美味しいものを食べて、飲んで、たくさん話せば解決します」と笑う。概して食欲と親密感が満たされれば、些末なことは気にならなくなるものだ。しかし「馴れ合いになりかねないところは注意する必要がある」と麻生氏は言う。
いずれにしても、二人は女性の割合が高い部署でチームと仲良く仕事をして、マネジメントも楽しんでいるようだ。幸せの笑いが絶えないトークとなった。