「インフラエンジニアの仕事」をもっと世の中に伝えたい
──現在クラウドの活用を中心としたインフラエンジニアをされていますが、転職しようと思われた理由や、転職活動を通じてインフラエンジニアという職種に対する気づきがあれば、お伺いしたいです。
転職しようと思った一番大きな理由は、前職の会社は基本的にオンプレミスが中心だったため、Amazon Web ServicesやGoogle Cloudなどのクラウド技術や新しいコンテナ技術に仕事上で触る機会がなかったことです。Twitterで見る流行のクラウドやコンテナ技術の世界に自分自身も飛び込んでみたいと考えるようになり、転職を決意しました。
転職してみて気づいたのは、インフラエンジニアに求められるものは幅広いということ。その中でもクラウドに特化した人、コンテナ技術に特化した人、システムの監視やファシリティに特化した人など、かなり多岐にわたります。インフラエンジニアとひと言でいっても、どのような知識が求められているのかは会社ごとに違うので、それを見極める力が必要だと思いました。
例えば、データセンターでスカートが風でブワッとめくれる話をしましたが、それはサーバーがちゃんと冷えるように、空調を効かせているんですね。そこには、空気の流れを計算して設計するスキルが求められます。
──キャリアに悩む若手のエンジニアやこれからインフラエンジニアを目指す方に向けて、夏目さんが特に大事にしている考えがあれば、お聞かせいただけますか?
最近はITエンジニアが人気職種になってきましたが、よくよく見ると開発職、特にWebアプリの開発者になりたいという人が多いと感じています。インフラエンジニアを目指す人も以前よりは増えてきましたが、まだまだ少ないと思っています。私自身、就職するときはインフラエンジニアという職種があることも知らなかったので、まずは、インフラエンジニアという仕事があることを知ってもらえたらうれしいです。
今は便利なサービスやオープンソースがたくさんあるし、クラウドも気軽な価格で使える。パソコン一つあれば、気軽に勉強できる時代です。そうした環境のなかで、私が大事にしているのは、「どうしてこのサービスが生まれたのか」「なぜこのオープンソースが開発されたのか」を考えることです。
それはなぜかというと、技術やサービスは昔からの積み重ねによって生まれるもの。最近は、コンテナ技術が注目されていますが、そのコンテナ技術って、結構昔からあったんですね。例えば、DockerやKubernetesが流行っている背景にはDevOpsの考えがあり、なぜそれが生まれたのか経緯を考えると理解しやすいと思っています。
また、Webやアプリに比べてインフラエンジニアの扱う技術は、移り変わりが早くないので、基礎からしっかり学べば息の長い仕事だということも根底にありますね。
──最後に、今後の『インフラ女子の日常』の展開やご自身の目標を教えてください。
2022年4月に初の著書『インフラ女子の日常』を発売しました。インフラエンジニアという職種について楽しく理解することができます。オンプレミスからクラウドへの移行に関するお話や、リモートワークの環境整備などについても詳しめに解説しています。気になる方はぜひ、ご一読ください!
──夏目さん、貴重なお話をありがとうございました。さらなるご活動の広がりを楽しみにしています!