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キーパーソンインタビュー(AD)

AI SaaS企業からAIプラットフォーマーへ――AI insideが重視する「事業思考」に基づくエンジニアリング

オブザーバビリティは、AI insideの第2創業期にいかに貢献するか

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「プロダクトのビジネス貢献」を評価する指標

――エンジニア組織の活躍は、AI insideのビジネス成長の原動力ですね。

清水:まさにその通りだと思います。AI insideのエンジニアの視点から「プロダクトのビジネス貢献を評価する指標」を策定し、オブザーバビリティダッシュボードを通じてAI insideの経営層やビジネスチームと共有できたら、エンジニア組織のビジネス貢献をより全社に実感してもらえるのではないでしょうか。

三谷:そうですね。それに近い取り組みはすでに始めています。DX Suiteの一つのユースケースとして受発注システムとの連携があるのですが、顧客にとっては「いかに時間をかけずに受発注システムにデータを渡せるか」が最も重要です。そこで、顧客の業務効率に直結する重要な指標として、ジョブの投入から結果が得られるまでの処理時間やエラー数などを取得して社内で共有しています。

 これらの指標を評価するとともに、遅延の傾向が見えてきたら事前に対処できる手順も整えました。今後は、顧客ごとのサービスレベルを観測しつつ、タスクごとのパフォーマンス指標と合わせて、ビジネス貢献への評価を精緻化していきたいですね。

清水:エラーや障害を検知し、その根本にある問題の特定と改善を行うといった、マイナスをゼロに近づけることだけでなく、サービス品質の向上やビジネス貢献度の把握といった、事業を成長させるようなプラスを創造することにオブザーバビリティを活用していただけているのが嬉しいですね。

 そこで提案なのですが、事業成長にどれだけ貢献できたか、そして顧客をどれだけハッピーにできたかを観測する「ビジネスオブザーバビリティ」を実装されてはいかがでしょうか。例えばECサイトであればアクセス数や表示速度・応答速度などが、コンバージョン率や売上に直結するように、システムの好不調はデジタルビジネスの成果を大きく左右します。このようなビジネスのキーとなる数字とシステムの数字を相関して理解できるように並べて明示できれば、エンジニア組織の更なるビジネスパフォーマンス向上を後押しできるでしょう。

三谷:ぜひやりたいですね。その一環として、顧客に向けてAI insideのサービスから得られたビジネス価値を定量的に示すことはできないでしょうか。たとえば、DX Suiteを利用することで業務の工数や時間をどれだけ削減したか、BPO業務のコストをどれだけ抑制できたかを明示することは、まさにビジネスオブザーバビリティの実践となるでしょう。

清水:素晴らしい取り組みですね。ビジネス側のメトリクスを取り込むことができれば、New Relicでシステムメトリクスと相関させて見ていくことはもちろん可能です。私が三谷さんにすごく共感しているのは、そうした「事業思考」に基づいたエンジニアリングを追求し続けているところです。AI insideのエンジニア組織にも「事業に貢献するのだ」という覚悟を感じていて、私自身の事業会社でのエンジニア経験を重ね合わせて熱いものが込み上げてきました。ぜひ協力させてください。

三谷:ありがとうございます。ちょっと視点を変えた話になりますが、AI insideでは、優れたユーザー体験を提供し、より多くのユーザーの獲得を通じて、多くのデータを学習することで、高価値なAIを開発・提供する「AI inside Cycle」を推進しています。より多くのユーザーにAIプロダクトをご利用いただくことで継続的に低価格化を進め、顧客のメリット=利益を高めていくことができる仕組みです。これが、AIプラットフォーマーへの変革を目指すAI insideの根底にある取り組みです。

持続的成長をドライブする AI inside Cycle
持続的成長をドライブする AI inside Cycle

清水:GAFAMの例を挙げるまでもありませんが、プラットフォーマーの最大の優位性は規模の経済です。AI inside Cycleを回してスケーラビリティを獲得し、圧倒的なサービスをダントツの低価格で提供して、ビジネスオブザーバビリティで導入効果を定量的に示すことができたなら、向かうところ敵なしですね。

世界の常識を変えるLeapnet(リープネット)構想

――AIプロダクトを稼働させるサービス基盤をご紹介いただけますか。

三谷: AI insideのサービス基盤は、マネージドKubernetesをベースに整備されており、マイクロサービスアーキテクチャによるコンテナアプリケーションが稼働しています。パブリッククラウドを中心とするインフラ構成になってはいますが、AIプラットフォーマーとしてのビジネスを支えるシステム/インフラという観点では、クラウドに囚われる必要はないというのが私たちの考えです。

 AI insideでは、オンプレミスとクラウドにある複数のリソースを、あたかも1つのクラウドのように利用できる技術開発に成功しており、これをAIプラットフォームの中核技術として活用していく計画です。私たちはこの仮想分散型のAIネットワークを「Leapnet(リープネット)」と名づけました。データセンターのサーバーとクラウドのリソースをシームレスに利用することも、世界中に分散したサーバーをセキュアに接続してひとつの巨大なクラウドを形成することも可能です。AI insideのクラウドを使うのと同じ体験で、ハイブリッドなリソースを利用できるようにする考えです。

清水:私のノートPCも、Leapnetに参加してリソースをスケールできるわけですね。日本中の余剰リソースを束ねるだけでも、とてつもない規模のサービス基盤を構築できそうです。画期的でありながら、かつ現実的なアイディアであり、まさに「AIの民主化」をもたらすシステム/インフラがすでに構想段階を超えて、実現されつつあるのですね。

三谷:そこで、Leapnetのハイブリッドクラウド環境にもオブザーバビリティを適用できないか、というのが新しいチャレンジとして見えてきました。特に、閉域網に接続されたオンプレミスサーバーの場合、現状ではクラウドベースのオブザーバビリティツールの適用が難しいという課題があります。

清水:そこもサポートさせてください。先ほどお伝えしたように、オブザーバビリティとは監視にとどまらず、どのような問題がどこで、なぜ起きたのかを把握できる「状態」のことを指します。例えば、その実現に足る必要な観測データをローカル環境で取得しておき、定期的にチェックや分析を行う手法も考えられます。これはオブザーバビリティの目的が必要なときに問題を容易に特定でき修正ができること、すなわちトラブルシューティングに必要なデータの収集が可能であれば非同期的でも要件次第では有効だと考えられます。ポイントはプロアクティブな対応にいかに近づけられるかというところがチャレンジになると思います。

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GAFAMを超えていくためのプロダクト開発

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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