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Developers Summit 2024 Summer レポート

品質を「文化」に高めてビジネスをドライブする──グロービス 河原田氏が語る、ソフトウェア品質への組織的アプローチ

【24-A-5】ソフトウェア品質というビジネス課題への組織アプローチ

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 日々新たな製品が生まれるソフトウェア業界。高品質であることやバージョンアップで品質が上がっていくことによる顧客満足がビジネスの成功を左右する昨今、この「品質」に対して組織的にアプローチすることでライバル製品との差別化を図る企業が増えている。しかし、「組織的な」品質改善をいかに進めるか、またその鍵となる「品質文化」の醸成にどう取り組むかの絶対的な正解はなく、組織ごとに答えを見出していくほかない。自身もその答えを求めてきたQAエンジニアであり、株式会社グロービスでQAチームユニットリーダーを務める河原田氏が、品質文化の定義や醸成方法、事業戦略とのかかわりについて語った。

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社内人材がつくる「品質文化」

 講演の冒頭、河原田氏は「品質」の定義は長年研究され、人によって異なると語り、ジェラルド・ワインバーグ氏に由来する「品質は、ある時点で、それが重要な誰かにとっての価値である」という言葉を紹介した。さらにこの「価値」の基準についても、書籍『LEADING QUALITY』から「品質は主観的なものであり、その時点で製品を使用している人が決める」と引用し、品質が主観的かつ相対的な概念であることを強調した。

株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム QAチーム シニアエンジニア 河原田 政典氏
株式会社グロービス グロービス・デジタル・プラットフォーム QAチーム シニアエンジニア 河原田 政典氏

 グロービスのQAチームではこうした品質について、人材育成や能力開発など人的側面である「People(ピープル)」、開発の過程に着目する「Process(プロセス)」機能改善やバグ修正などを行って直接品質を上げる「Product(プロダクト)」の3つの側面からなる「P^3 Quality(ピーキューブ・クオリティー)」として整理した。

 特にPeopleについては「誰をバスに乗せるか」、つまり誰を採用するかが非常に重要だ。一度バスに乗車した人をすぐに下すことはできないため、バスの進行方向に一緒に進んでいく人材を採用しなくては、次の Process の品質への悪影響につながる。このように「人」が創り上げるものを「文化」と呼び、品質に関わる領域を「品質文化」と称していると紹介した。

品質は文化・戦略にまたがる概念だ
品質は文化・戦略にまたがる概念だ

 「現代のマーケットには多くの類似製品が生まれやすく、顧客はいつでも別の製品に切り替えることができる」と語る河原田氏。ブルーオーシャン市場でポジションを確保したとしても、ユーザビリティや価格面で秀でている後発企業が参入することで、あっという間に撤退を余儀なくされてしまうのだ。

 ソーシャルゲームなども含めたソフトウェア業界では顧客の移動が容易であり、先駆者であっても後発の企業やプロダクトに追い抜かれることが珍しくない。だからこそ、生き馬の目を抜くような現代市場において「品質を向上させ続けること」は生き残るための至上命題なのだ。

 この「品質」がビジネスに及ぼす影響は、経営と現場の目線の違いにも波及する。経営層は全社目標とそれに紐付いた部門目標を基に考えるため、結果ベースで数字を見る。一方、現場は作業ベースで考えるため、バグの件数やテストケース実行数など「何をするか」という方向に意識が向かうと述べた。

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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中島 佑馬(ナカシマ ユウマ)

 立命館大学卒業後、日刊工業新聞社にて経済記者として勤務。その後テクニカルライターを経て、2021年にフリーランスライターとして独立。Webメディアを中心に活動しており、広くビジネス領域での取材記事やニュース記事、SEO記事の作成などを行う。

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https://codezine.jp/article/detail/20124 2024/11/28 11:00

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