スマレジに転職してプレイヤーもマネージャーもどちらもできる
そしてスマレジ入社へと至る。現在はチームをリードする立場として目標設定、評価、採用面接などを行い、同時に開発者としてスケジュール・進捗管理、タスク割り振り、コードレビュー、コードを書いて実装も行う。プレイヤー業務の傍ら、現場に近いマネジメント業務を兼任しているところだ。
転職先にスマレジを選んだ理由は、宮﨑氏が挙げたようなスマレジの開発バリューに魅力を見いだしたからと言える。まず「生涯現役」であるところ。スマレジでは開発部の現場ではほぼ全員がコードを書く。年齢も関係ない。上野氏は「ここならコードが書ける」と期待し、入社してその期待が裏切られることはなかった。
もう1つは「ビジネスがわかるエンジニア組織」を目指しているところだ。マネージャー業務だけに従事するメンバーはいない。機能を実装するメンバーが営業やカスタマーサービスと協議してプロダクトの方針を決めているため、まさにエンジニア主導で開発が進んでいる。上野氏は「分業をなるべく減らして、必要であればマネジメント業務もやるというスタイルなので、プレイヤー経験もマネジメント経験も活かせると思いました」と話す。
実際、上野氏が転職前に抱いていたマネージャーのデメリットや不安はスマレジへの転職で払拭できた。現場から離れて現場や技術に疎くなったところは、現場に復帰できた。マネージャーの世界にも「上がいる」と途方に暮れてしまった点は、プレイヤーとマネジメントを兼任できる環境を選ぶことで「どちらもある程度できる」を目指すことにした。マネージャー経験が自分を成長させているのかという疑問については、別環境でマネージャー業務に挑戦することで確信が得られるようになるだろう。
一般的にはプレイヤーとマネージャーで分業する組織は多いものの、「プレイヤーかマネージャーか」の二者択一ではなく「どちらもやる」のが向いている人もいるし、実際にスマレジのように「どちらもできる」現場もある。マネジメント業務の責務をどこまで現場に委譲しているかは環境により多種多様だろう。上野氏はプレイヤーかマネージャーか区別することよりも「自分がどういうところに身を置いたほうがいいのかを考えることのほうが大事」と話す。
また上野氏は「マネージャー経験は食わず嫌いしないほうがいい」とアドバイスする。当初は戸惑いがあったものの、やってみたら視野が変わり、違う境地にたどり着くことができた。例えば「現場で人が足りないから採用を増やす」という状況に直面した時、プレイヤーだけではなかなかうまく動けなかったりするが、マネージャー経験があるからこその発想で言えることや動けることがある。「幅広い選択肢からチーム運営ができているのは間違いなくマネジメント経験から来ている」と上野氏は言う。
分業や役割がしっかり決まっている組織では、プレイヤーとマネージャーの間には大きな溝があるかもしれない。しかし上野氏は、「業務は(プレイヤーとマネージャーの)二者択一ではなくグラデーションのようなものです。マネージャーをやってみてダメだなと思えばプレイヤーに戻ればいいだけの話。どちらも経験したからこそどちらにも行き来できると思えるようになりました。自分の特性に合った柔軟な生き方が大事です」と最後に述べ、セッションを締めくくった。