強化されたXAMLデザイナー
Visual Studio 2008とSilverlight 3の開発では、Silverlight 3 Tools提供時に、Visual StudioのXAMLデザイナーの完成度が不十分であったことから、デザイナーの実装が見送られてしまいました。Visual Studio 2010ではVisual Studioの大幅なリニューアルが行われ、より強化されたXAMLデザイナーが搭載されています。以下、そのXAMLデザイナーの機能をいくつか紹介します。
(1)コントロールのドラッグ&ドロップ
Silverlight 3の開発環境で削除されたデザイナー機能が、パワーアップして帰ってきました。ASP.NETやWindowForms、WPFと同様に、デザイナーを利用した視覚的なUIのデザインが可能になっています(図4)。
(2)インテリセンスの強化
膨大なクラスライブラリーを持つプログラム環境では、開発環境が表示してくれる候補の表示(インテリセンス)が欠かせません。従来、Visual Studioには強力なインテリセンスが搭載されていましたが、バージョンアップに伴い、ますます使いやすいものに進化しています。
特に、マークアップ拡張やスタイルの指定時にインテリセンスが使えるようになったのは、XAML手書き派の人にとって、非常にうれしい改良ではないでしょうか(図5_1、図5_2)。
以下に、インテリセンスの強化を図示します。
(3)コントロール状態のリソース化とバインド設定の簡易化
Visual Studio 2010のXAMLデザイナーを見て筆者が最も便利だと感じたのは、コントロールの設定値をリソースとして外出しにしてバインド値にしたり、あらかじめリソースとして定義されたスタイルを簡単にコントロールに適用する機能です(図6_1、図6_2)。
以下に、Visual Studioによるリソースの設定を図示します。
このように、Visual Studio 2010は、デザイナーにも開発者にも優しい開発環境になっています。
Expression Blend 4
Visual Studio 2010になり、XAMLの記述は格段に楽になりましたが、スケッチフローを使ったアプリケーションの開発や、アニメーションのデザインなどを考えると、Expression Blendのサポートは欠かせません。英語版ではありますが、トライアル版でExpression Blendを体験してみてください。
また、Silverlight 3の連載「デザインツールの進化― Expression Blend 3入門」でもExpression Blendについて紹介していますので、そちらの記事も参照してください。
追加されたコントロール
Silverlight 4でも、いくつかのコントロールが標準で追加されています。ここでは、新しく追加されたViewBoxコントロールとRichTextBoxコントロールの概要を解説します。WebBrowserコントロールとDataSourceコントロールは、今後の連載で解説します。
Visual Studioのマルチターゲッティング
Visual StudioにSilverlight 4 Toolsを追加でインストールすると、プロジェクトの作成時にSilverlightのバージョンを選択することができます。この設定は、プロジェクトのプロパティ画面で変更できます(図7_1、図7_2)。
以下に、Silverlightのマルチターゲッティングを図示します。
設定したバージョンによって、コンパイル時のSilverlightのバージョンが異なります。たとえば、Silverlight 4からのメソッドを利用しているときにSilverlight 3のプロジェクトを選択していると、コンパイル時にエラーとして出力されます。
また、Visual Studioのツールボックスに表示されるコントロールも、バージョンによって異なります。図8_1、図8_2は、各々のバージョンを選択した時の、Visual Studioのツールボックスの違いです。
以下に、Silverlightのバージョンによるツールボックスの見え方の違いを図示します。
ターゲットにSilverlight 4を選択すると、Silverlight 3では表示されなかったRichTextBox、ViewBox、WebBrowser、DomainDataSourceなどが新たに表示されていることを確認できます。