Visual Studio for Macとは?
それではVisual Studio for Macについて紹介します。
統合開発環境
Visual Studio for MacはWindows版Visual Studioと同様、統合開発環境です。Macアプリケーション、Webアプリケーション、スマートフォンアプリケーションといったさまざまなアプリケーションの開発をおこなうことができます。
Visual Studio for MacはWindows版のVisual StudioをMacに移植したものではありません。Mac用の統合開発環境として別途開発されたものです。そのため、同じところもあれば異なるところもあります。上図のスクリーンショットを見ても上部にある実行ボタンなどはXcodeっぽくもあり、右側にあるソリューションエクスプローラーやプロパティパネルはVisual Studioっぽくもあることがわかると思います。なお、図には示していませんが、メニュー構成はVisual Studioとほぼ同じになっています。
開発できるアプリケーションの種類
Visual Studio for Macでは以下のアプリケーションを開発することができます。
タイプ | 実行環境 | フレームワーク | プログラミング言語 |
---|---|---|---|
スマートフォン | iOS | Xamarin.iOS | C# |
Android | Xamarin.Android | C# | |
Webアプリケーション | IIS(Windows Server) | ASP.NET Core | C# |
Mono(ASP.NET MVC) | C# | ||
Macアプリケーション | Xamarin.Mac | Xamarin.Mac | C# |
.NET Core |
.NET Core (コンソールアプリ) |
C# | |
Mono |
Mono (コンソール、Gtk#) |
C# |
Visual Studio for Macはスマートフォンアプリケーション、Webアプリケーション、そしてもちろんMacアプリケーションの開発をおこなうことができます。すでに述べた通りWindowsアプリケーションの開発には対応していません。ただし、一部のアプリケーションはクロスプラットフォームアプリなのでWindowsでも実行可能です。これはVisual Studio for Macの特徴の1つです。
.NET Core(ASP.NET Coreも含む)とMonoはどちらもWindows/Mac/Linuxに対応したクロスプラットフォームなアプリケーション実行フレームワークで、.NET Coreアプリ、MonoアプリはMacだけでなくWindowsやLinuxでも実行可能です。
また、Xamarin.iOS、Xamarin.AndroidはWindowsとMac上でiOS、Androidアプリが開発可能なクロスプラットフォームの環境です。
そして、Visual StudioとVisual Studio for Macのプロジェクトファイルには互換性があります。そのため、Visual Studioで作成したプロジェクトファイルをそのままVisual Studio for Macで読み込むことができます。もちろん、その反対も可能です。
もう1つの大きな特徴としてC#があります。
Visual Studio for Macは基本的にC#を使って開発をおこないます。Objective-CやSwift、Javaなどは使いません。C#はマイクロソフトが開発したオブジェクト指向型のプログラミング言語です。文法的にはC/C++をルーツに持ち、Javaとの類似点も多くあります。また、ジェネリック(総称型)、関数型言語の要素、非同期など先進的な機能を取り入れつつ現在も進化を続けている言語です。言語仕様がオープン(ECMA、ISO、JISといった規格として標準化)なこともあって、いまではマイクロソフト以外の環境、例えばUnityなどでも使用されるようになっています。
なお、一部のプロジェクトではF#もサポートされています(F#はマイクロソフトが開発した関数型プログラミング言語です)。
補足
プレビュー版でVisual Basic(VB)は、ごく一部のプロジェクトではサポートされていますが、iOS、Android、ASP.NET、Macなどの主要なプロジェクトではサポートされていません。クロスプラットフォームなC#/VBコンパイラ「.NETコンパイラプラットフォーム(Roslyn)」を使用して今後サポートされるようになる可能性もありますが、現時点ではVisual Studio for MacのVBサポートについてはなにもアナウンスされていません。