DX時代のエンジニアに求められる3つの能力とは
北野氏は、学生時代は物理系の研究者だったが、卒業後はNECに入社し、インフラ自動化の研究を経て社内プライベートクラウドの開発に携わった。そして2019年にクラウドエースに入社し、Google Cloudを活用した設計、構築、運用業務を担当している。IT未経験から独学で試行錯誤しながらインフラエンジニアの知見を得てきた。
北野氏は、ITエンジニアの業務は「顧客(ユーザー)の業務上の課題をIT技術の活用で解決すること」と定義し、そのために必要な能力3つを挙げた。
- 課題を発見する能力
- 課題を解決する方法を導き出す能力
- 導き出した方法を実現する能力
顧客の要望は「なんだか、うまくいかない」と、課題が明確化されていないことも多い。その本質を見極め、ITで解決する方法を探り、提案する。提案は顧客が費用面も含め納得できる方法でなければならない。方法が決定すれば達成を目指し、想定外の苦難を乗り越える必要もある。
北野氏は、この3つの能力を獲得するには、「パーソナルスキル」「ドメイン知識」「IT技術の知見」が必要だとし、それぞれ説明した。
パーソナルスキル
2022年に経済産業省がDX人材に必要なスキルをまとめた「DX推進スキル標準」にも含まれているスキル。具体的には、リーダーシップが取れる、心理的安全性を意識できるといった「ヒューマンスキル」と、水平思考や論理的思考ができる「コンセプチュアルスキル」の2つ。水平・論理的思考は、一般にクリティカルシンキング・ロジカルシンキングとも呼ばれる。
ドメイン知識
顧客企業そのものの知識と、顧客が在籍する業界全般の知識を指す。顧客業務の改善を目指しているため、業務フローや年間スケジュール、業界特有の商習慣などの知識は重要。
IT技術の知見
ITや開発で利用する基礎的なツールの知見。データベースやネットワークといった特定のツールに閉じないIT技術に関する知見と、実際にシステムを構築するためのクラウドの知識や実装に利用するプログラミング言語や、ツールなどの知見だ。