招待講演
招待講演担当の舛岡です。
招待講演は「PyCon JP参加者と接点が少ない分野の方々を招待し、参加者と講演者とが交流できる場所を提供する」ということを目的に実施をしました。今回は、早稲田大学の鷲崎弘宜教授、Preferred Networksの得居誠也氏に講演いただきました。
鷲崎先生には「Pythonを含む多くのプログラミング言語を扱う処理フレームワークとパターン」というテーマでお話いただきました。
講演内容について、PyCon JP 2016カンファレンスレポートをご覧ください。
得居氏には「確率的ニューラルネットの学習とChainerによる実装」というテーマでお話いただきました。
講演内容について、PyCon JP 2016カンファレンスレポートをご覧ください
今年初めて、PyCon JPで招待講演を行いました。どちらの講演も自分自身で聞きたいテーマでしたが、Python中心の話題ではないため、どのくらいの方が参加してくれるかすごく不安でした。結果は大盛況でとても安心しました。
Twitterやアンケートには招待講演についての記載や、招待講演があるからPyCon JPに参加したという人もいて、この結果から、参加者がアカデミック分野にも関心度が高いことが分かりました。いろいろな人がPyCon JPに参加するきっかけをつくることができてよかったです。来年以降は、また違うテーマで招待講演ができるとよいなと思っています。
私がPyCon JPスタッフに応募した目的は、PyCon JPのようなイベント運営をどのように進めたら良いのか、Pythonコミュニティの作り方、盛り上げ方を知りたいということでした。また、最新の専門技術について話ができる方を招待して、みなさんに知ってもらうことでした。スタッフは初めてでしたが、このようなChallengeをさせてもらって、とても楽しかったです。
トーク
トークセッション担当の清水川です。
今年のトークは、招待講演2枠を合わせて50枠用意しました。2日間で50枠という数はPyCon JPとしては欲張りではありましたが、多様性を求めた結果、この程度の数が必要となりました。また枠数が多い一方で、参加者同士が交流するための十分な休憩時間も確保することを考え、並列5トラックで進行することとしました。
今年のタイムテーブル構成です。見たいトークが同じ時間にかぶる可能性が高まることにはなりましたが、PyCon JPではトークの内容を動画で公開しているので、参加できなかったトークは後で動画を見てもらうことを期待しました。
トラックを構成する際に考慮したことは、2点あります。まずは、休憩時間を長くとり、またそのタイミングをトラックごとにずらしたことです。約700人の参加者が集まるため、ランチ休憩とお菓子休憩の混雑を緩和させること、また休憩時間での参加者同士の交流を目的としました。2つ目は、同じカテゴリが同じ部屋で連続しないようにしたことです。これによって、参加者が普段興味を持たないようなカテゴリやテーマのトークを聞いたり、あるいは部屋の外でスポンサーブースや他の参加者、講演者と自然に交流できる環境をつくることを試みました。
皆さんは思いもよらない何かに出会えたでしょうか?
トーク担当者の重要な役目の一つがトークの採択です。今年のトークの採択で目標にしたことは、Pythonが利用できる領域が広範囲であり、またさまざまな切り口があることを参加者に伝えることです。トーク応募の段階からカテゴリと難易度を応募者に指定してもらっていましたが、同じカテゴリのトークや同じ難易度のトークへの偏りを避けるように、採択の基本ルールを作りました。
採択ミーティングの様子は以下のblogにまとめています。
- 『PyCon JP 2016 Talkを決定しました』(PyCon JP Blog)
今年のトークを採択するうえで嬉しい誤算だったのは、みなさんのプロポーザルがとても洗練されてきていたことです。プロポーザルのクオリティは年々向上してきていましたが、今年は特によかったように思います。プロポーザルを公開していることにより、各提出者が他の方の内容をみて、良いところを取り込めることも要因かもしれません。
プロポーザルは全部で108件ありましたが、例年なら採用されると考えられるようなプロポーザルがいくつも不採用になりました。そんななかで採用された48件のトークは、プロポーザルの内容から質、量ともに十分に検討されており、良いトークをしてくれるだろうと期待ができるものばかりでした。多種多様なプロポーザルをご提出くださったみなさんに、あらためて感謝いたします。
実際にどんなトークが行われたのかは、以下のページで紹介しているので、チェックしてみてください。
- PyCon JP 2016トーク一覧 - PyCon JP 2016
- 『PyCon JP 2016カンファレンスレポート 1日目』(gihyo.jp)
- 『PyCon JP 2016カンファレンスレポート 2日目』(gihyo.jp)
トーク関連では、他にも細かな企画を行いました。採用されたスピーカーへ定期的に情報をメールで提供するSpeaker Updateでは、スピーカーにありそうな心配事をQ&Aとしてまとめたため、誰かからの質問に答えやすくなり、新しい質問と回答をまとめておくのに役立ちました。3通目のメールではじめてトーク採用に気づいたという方もいて、定期的に情報を伝えることで良い副作用もあったようです。
スピーカー同士の意見交換を行うSlackチャット部屋では、スピーカー同士でスライドをレビューしあったり、英語スライドの用意をどうするべきかといった意見交換などが自然に行われていました。
そして、トーク慣れしていないスピーカーへのアドバイスを行うトークアドバイスは、アドバイスを希望するスピーカーが筆者(清水川)と1対1でビデオチャットでアドバイスを受けられるという企画です。実際にアドバイスを受けたdrillerさんが感想などをPyCon JP初登壇で準備したことというLTで紹介しているのでご参照ください。
筆者がPyCon JPのスタッフをするのは5回目ですが、トークセッションについては例年多くの感想が寄せられていました。例えば、上級者向けがない、Webの話ばかり多い、全部聞くのが大変、といった意見です。そのような過去からの学びと、今年のテーマである"Everyone's different, all are wonderful."を踏まえ、自分でトーク構成というのを一度やってみようと思い、担当者に名乗りを上げました。
単にまんべんなく採用すればよいわけでもないし、人気のある話題ばかりをあつめればよいわけでもありません。少人数のスタッフで採択を行うと、どうしても狭い視野に偏る傾向があることも危惧していたことでした。そこで、スタッフ以外に広く呼びかけいろいろな分野の多くの方にレビューアーとして参加してもらいました。この時に決めたレビューポリシーは、レビューと並行で試行錯誤しながら作成したものです。評価基準は自分がそのトークを聞きたいかどうかではなく、プロポーザルの内容が十分に記載されているか、発表者が想定する参加者像に合ったは発表内容が期待できるかどうかに重点を置いて評価するようにしました。
今回の経験は、来年以降のスタッフにも引き継いでいき、磨いていきたいと思います。