はじめに
会計システムのデータを統合する比較的複雑なダッシュボードの構築を顧客から依頼された場合、その要望に応えるにはPerformance Point Server(PPS)が役に立つでしょう。PerformancePointとは一体何で、それを使ってどんなことができるかという点に関しては、有益な情報がなかなか見つかりにくいのが現状です。
そこで本シリーズでは、こういった疑問を解決するために、具体的なインストールプロセスを紹介し、有意義な結果を得るために必要な「ダッシュボード」の詳細について、興味深い実例を見ながら説明していきます。十分な必要条件を用意したうえで、以降の手順に従っていけば、実際に操作できるダッシュボードを(テスト環境ではありますが)数時間で構築できるでしょう。
本シリーズの記事をお読みになると分かりますが、この設定プロセスは非常に複雑で、Microsoftのドキュメントを基にこのプロセスを理解しようとした場合には気持ちが萎えてしまうかもしれません。これは実話ですが、Microsoftのある社員(名前は控えさせていただきます)が私に語ったところでは、PerformancePointの設定プロセスはこれまで彼が見たどのMicrosoft製品のそれより複雑だということです。
まず大枠から見ていくと、PerformancePointスイートを構成する主なコンポーネントは次の3つです。
- Planning Server
- Monitoring Server
- Analytics Server(ProClarity Analytics Server)
図1に、Microsoft Business Intelligenceスタックを示します。PerformancePoint Server 2007はこのスタックに含まれています。
各製品のインストール手順は複雑なので、本シリーズではそれぞれのインストール方法を独立した記事として紹介します。まずはPlanning Serverのインストールです。
Planning Serverの概要
Microsoft TechNetのサイトには、Planning Serverの分かりやすい概要が掲載されています。余計な宣伝文句は省いて、概略だけが書かれています。
PPSはHyperion(先日Oracleに買収)やCognos(こちらはIBMに買収)などの製品と競合するものですが、それらの製品よりもかなり安い価格で提供されています。
Planning ServerはPerformancePointのコンポーネントの1つで、管理プロセス(特にビジネスプランニングと管理報告に関係するプロセス)を支援するエンタープライズクラスのアプリケーションです。基本的に、SQL Server 2005から作成されたデータのOLAPキューブに基づく「what ifシナリオ」を作成するためにPlanning Serverは使用されます。
Planning ServerはMicrosoft SQL Server 2005ベースのデータベースと、SQL Server 2005 Analysis Servicesの上に構築されます。一連のビジネスレポーティングや分析にはExcelが使われます。
また、複数のため替換算、連結消去および調停、多階層分散を用いて管理および財務に関する一般会計原則(GAA)の整理統合プロセスを支援します。ビジネスユーザーはこれを使用して、ExcelからSQL Server 2005 Reporting Services、Microsoft Office SharePoint Server 2007、またはWindows SharePoint Services 3.0にライブレポートを発行できます。パワーユーザーであれば、集中管理サーバーに接続して生産品質のレポートをExcelから作成、カスタマイズ、および共有することができます。