OSのインストール
仮想マシンの作成が完了したら、引き続きOSをインストールします。先ほどの手順でインストールイメージを指定しているため、仮想マシンを起動するとインストールが開始されます。インストールにおいては、「Server Core Installation」ではなく、「Full Installation」を選択してください。他に注意することはありません。通常のWindowsサーバーのインストールと同様に進めてください。
VMロール向けの設定
OSのインストールが完了したら、VMロール向けに以下の設定を実施します。
- ネットワーク接続の設定
- Windows Update の自動実行を無効化とWindows Updateを実行
- .NET Framework 3.5.1 のインストール
- VMロール向け統合コンポーネントのインストール
- 任意のソフトウェアの設定など
- Sysprepコマンドで一般化(Generalize)
それでは、個々の設定手順を説明します。ただし、VMロールの実行のみを目的とした検証においては、1.、2.は省略してもかまいません。また、この設定は通常のWindows Serverと同じ操作であるため、説明は省略します。
次に、必須コンポーネントである、.NET Framework 3.5.1 のインストールを行います。
仮想マシン上で、Server Managerを開きます。左ペインの[Features]を選択し、中央ペインの[Add Features]をクリックします。ウィザード画面が表示されるため、.NET Framework 3.5.1 を選択し機能をインストールします(図8)。
次に、VMロール向けの統合コンポーネントをインストールしますが、これには以下の設定変更を含んでいます。
- システムロケールをEN-USに設定します。
- システムのタイムゾーンをUTCに設定します。この設定を変更してはいけません。
- Windows Updateをオフにします。
- 管理者パスワードを設定します。後述するSysprep(注2)コマンド実行後、次回この仮想マシンにログインするのに必要です。
Sysprepとは、システム準備ツールと呼ばれているもので、Windowsを複製して利用するような場合に、ユーザーやコンピュータ固有の設定を初期化します。Sysprepについての詳細は、「Sysprep テクニカル リファレンス」を参照してください。
続いて、統合コンポーネントをインストールします。統合コンポーネントとは、VMロール向けの各種サービスのインストール、OSの設定変更、およびファイアーウォール等の設定を行うコンポーネントです。統合コンポーネントは、ISOイメージで提供されており、「C:\Program Files\Windows Azure SDK\v1.4\iso\wavmroleic.iso」に格納されています。仮想マシンのメニューから[メディア]-[ディスクの挿入]を選択し、ファイルダイアログで統合コンポーネントのISOイメージを指定します。その後、マウントされたDVDから「WaIntegrationComponents-x64」を実行します(図9)。
インストーラーを実行すると、インストールウィザードが起動します。図10-右の[Administrator Password]は、Sysprepによる一般化(注3)後にログインする場合に必要です。忘れないように注意してください。
一般化(Generalize)とは、仮想ディスクイメージを別のコンピュータに転送して利用する場合に必要となる処理です。
後はウィザードにしたがって操作すれば統合コンポーネントのインストールは完了です。
統合コンポーネントのインストールによって、Windows Azure専用のサービスがインストールされるのが確認できます(図12)。
任意のソフトウェアの設定やソフトウェアインストールなどがあれば、このタイミングで実施します。今回は仮想マシン上のIISを構成し、VMロールとして配置後に接続してみます(図13)。IISの設定は通常のWindows Serverと同じであるため省略します。
最後に、SysprepコマンドでOSを一般化(Generalize)します。コマンドプロンプトを開き、「C:\Windows\System32\sysprep」に移動し、「sysprep.exe」コマンドを実行します(図14)。
System Preparation Toolが起動したら、図15にしたがって、「System Cleanup Action」に[Enter System Out-of-Box Experience(OOBE)]を指定し、[Generalize]チェックボックスをオンにします(Generalizeとは前述した一般化のことです)。「Shutdown Options」には、[Shutdown]を指定し、ツール終了後にシャットダウンするように指定します。
[OK]ボタンをクリックすると仮想マシンの構成が初期化された後、シャットダウンされます。
MSDNによると、Sysprepコマンドの実行は必須となっていますが、実行しなくてVMロールが動作しないわけではありません。また、インストールしたソフトウェアによってはSysprepによって動作しなくなるものもあります。このように矛盾した状況が、VMロールを扱いづらくしている要因でもあります。